« 帰省 | トップページ | 是非読んで頂きたい朝日新聞記事より その4 »

2012年4月30日 (月)

是非読んで頂きたい朝日新聞記事より その3

第3回は、2011年9月15日付朝刊の「社説余滴」(大野博人)より。

何ともグロテスクな辞任騒ぎ

「死のまち」に端を発する鉢呂吉雄経済産業相の辞任騒ぎは、グロテスクだと思う。

政治がこんなことにエネルギーと時間を費やしていると、肝心な問題が後回しになる、からではない。
政治が肝心な問題を後回しにしたくて、こんなことにエネルギーと時間を費やし、メディアがそれを助長したように見えるからだ。

肝心な問題とは「事故原発の周辺地域にはもうずっと住めなくなるのか、住めるようになるとしてもいつからなのか」だ。
が、これは希望のもてる答えが見つかりそうにない重い問いだ。

それに向き合わずにすますため、政治家は手慣れた失言問題に飛びつき、メディアがあおる-。
こう感じたのは今回が初めてではない。

4月、松本健一内閣参与が、周辺地域の見通しを菅直人首相の言葉として話し、騒ぎになった。
「場合によっては周辺30キロ以上のところも当面住めないだろう」などという発言だ。

政界やメディアはもっぱら、住民感情への配慮が足りない、あるいは官邸の情報管理が甘いといった視点から取り上げ、批判した。
その結果、肝心な内容についての議論は進まなかった。

「死のまち」をいくつかの英語メディアは「ゴーストタウン」と訳した。
この言葉は多くの人が指摘するとおり、朝日新聞を含めて日本のメディアにもしばしば登場してきた。
記者の言葉、また、ふるさとを嘆く住民自身の言葉として、現実を語る表現だったはずだ。

外来語でなくなったとたんに問題視することに、意味があるとは思えない。

論説委員会では政策責任者の言葉だから問題なのだという反論を受けた。
「放射能をつけちゃうぞ」という言動も緊張を欠きすぎているとして、社説は「辞任はやむを得ない」と指摘した。

だが、本人に思慮が足りないにしても、閣僚辞任までの事態の進み方は異様だ。

メディアが問題にし、政治家が反応し、それをまたメディアが取り上げ、そのたびに騒動が肥大化、深刻化し、肝心の問題は置き去りになる。
そして閣僚の首が飛んで終わる。このメカニズムは健全ではない。

答えの出せない問いを、答えを出せる問いにすり替えても、人々の心に残るのは、政治とメディアへの不信感だけだ。

|

« 帰省 | トップページ | 是非読んで頂きたい朝日新聞記事より その4 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/193880/55314617

この記事へのトラックバック一覧です: 是非読んで頂きたい朝日新聞記事より その3:

« 帰省 | トップページ | 是非読んで頂きたい朝日新聞記事より その4 »