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2012年5月 6日 (日)

是非読んで頂きたい朝日新聞記事より その9

第9回。2012年4月25日付 朝刊「記者有論」(大村美香)より。

生牛肉・レバー 自己責任ですまない危険

 5人の死者を出した焼き肉チェーンによる集団食中毒事件からまもなく1年。厚生労働省は生食用の牛肉については表面の加熱を昨年10月から義務づけ、生レバーについては、今年6月にも禁止が法律で決まる見通しだ。

 規制を巡って「子どもやお年寄りはともかく、大人が危険と分かって食べるなら、構わないではないか」との声を耳にする。しかし、O157など腸管出血性大腸菌による食中毒がどれだけ危険か理解されているか、食べた人にとどまらず、周囲を巻き込むリスクがあることを踏まえているのか。「自己責任論」に異を唱えずにはいられない。

 腸管出血性大腸菌に感染して発症すると激しい腹痛や下痢、場合によっては溶血性尿毒症症候群(HUS)という重い合併症を起こす。ただ発病するのは子どもやお年寄りが中心で、健康な成人だと菌が体に入っても症状が出ないことも多い。自分では保菌者と知らず、普通に過ごす人が多くいるとみられている。

 腸管出血性大腸菌は感染力が強い。他の食中毒菌の約10万分の1に当たる数個から数十個でも感染が起きることがある。人から人への感染も広がりやすい。単に話をしたり、せきやくしゃみ程度の接触では大丈夫だが、感染者の大便にいる菌が手や指などを介してうつる。

 国立感染症研究所によると、2010年に報告された約4100例のうち15%がこうした接触感染が原因とされる。生活を共にする家族の間では特にうつりやすい。10人以上が感染した同年の集団発生13事例のうち、10例で家族内感染が起きている。

 こうした数字はあっても、大人が外食でレバ刺しや正しく処理されていないユッケを食べて保菌者になり、家庭内で子どもにうつって発病したケースが統計として把握されているわけではない。

 しかし、保健所で長く食品衛生監視員の仕事をしてきたベテランは「疑わしい事例はいくつも経験がある」と話す。堺市保健所は「原因となる食材を食べてしまった成人が何ともないのに、子どもやお年寄りが二次感染で発病してしまうことは断定できないが、よく起こっていることだと考えられる」とサイトで注意を呼びかけている。

 「ふぐは食いたし命は惜しし」ではないが、家族の命を危険にさらしてまで生で食べる価値があるとは思えない。牛肉やレバーのおいしさは焼いても十分楽しめるはずだ。

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