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2012年5月 4日 (金)

是非読んで頂きたい朝日新聞記事より その7

第7回は、2012年3月30日付朝刊の池上彰「新聞ななめ読み」より。

民間事故調 再検証も新聞の役割

 新聞やテレビで報道され、みんなが信じるようになったことについて疑問を呈し、再検証する。これも新聞の大事な役割です。その結果、異なる景色が見えてくることがあります。

 東京新聞3月11日付朝刊の「こちら特報部」は、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)が2月28日に発表した「調査・検証報告書」を再検証しています。

 この報告書が公表されたとき、新聞各紙は、報告書が菅直人首相(当時)の当初の対応を厳しく批判していると報じました。

 たとえば2月29日付の朝日新聞朝刊は〈菅氏の原発対応を批判〉との見出しで、報告書の内容を次のように紹介しています。

 〈福島第一原発に代替バッテリーが必要と判明した際、菅首相は自分の携帯電話で「必要なバッテリーの大きさは? 縦横何メートル? 重さは? ヘリコプターで運べるのか?」などと担当者に直接質問して熱心にメモをとった。同席者の一人は「首相がそんな細かいことを聞くというのは、国としてどうなのかとぞっとした」と述べた〉

 この部分は、菅首相の特異な性格を浮き彫りにしています。毎日新聞も読売新聞も「同席者」の感想を紹介し、読売新聞の記事は〈菅首相介入で混乱拡大〉との見出しをつけています。読売はさらに〈特に菅氏の行動について、「政府トップが現場対応に介入することに伴うリスクについては、重い教訓として共有されるべきだ」と結論付けた〉と、報告書の内容をまとめています。

(中略)

 ところが、東京新聞の記事は一味違いました。菅首相がバッテリーの大きさなどを質問する様子を見ての同席者の感想について、東京新聞はこう書きます。

 〈証言したのは、内閣審議官の下村健一氏。この記述について、細かいことを聞きすぎる菅氏に対し、官邸内でも危機感が出ていたことを示す証言だ、という解釈が支配的だった。

 しかし、報告書の公表後、下村氏は自らツイッターで「そんな事まで一国の総理がやらざるを得ないほど、この事態下に地蔵のように動かない居合わせた技術系トップ達の有様に、(中略)ぞっとした」という解釈が真意だと説明している〉

 問題は菅氏ではなく、「技術系トップ達」だったというのです。

 さらに東京新聞は〈報告書は菅氏にすべての責任を負わせているわけではなく、むしろ高く評価している部分も少なくない〉〈報告書は菅氏を断罪するトーンでは書かれていない。にもかかわらず、報告書が菅氏の対応を激しく批判しているという解釈が拡大。従来の「イラ菅」のイメージや一部報道も手伝ってか、「菅(前首相)の存在が事故悪化の根源だ」といったムードが広がった〉と書きます。

 「菅の存在が事故悪化の根源だ」と思われてしまうのは、身から出たサビの部分もあるでしょうが、ゆがめられて伝わってはなりません。私もそう思い込んでいましたから、この指摘は貴重です。

 東京新聞の記事は最後に、こう書きます。

 〈結局、事故を過酷化させた責任は当事者の東電に加え、「(東電に)事故の進展を後追いする形で報告を上げさせる、いわば『ご用聞き』以上の役割を果たすことができなかった」(報告書)とされる保安院など、原発推進官庁の官僚側にあったといえる。「菅叩き」はそうした問題の本質を覆い隠しかねない〉

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