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2012年5月19日 (土)

社説を読む 第17回

GW中からの3週間分をまとめて。今回から、○は青色表示、?は赤色表示に変えることにしました。


4/28付朝日
 国から出資を受けるため、東京電力の新たな事業計画が経済産業相に提出された。

 一時国有化のもとでリストラを急ぎ、14年3月期の黒字回復を目指すという。

 ただ、今年7月からの家庭向け料金の10%値上げと、新潟県・柏崎刈羽原発を来年度から動かすことが前提だ。

 非現実的で、無理がある計画と言わざるをえない。


4/30付朝日
 通学路に防護柵を備えることを基本にしよう。路面を所どころ盛り上げ、速度をあげにくくすることも有効だろう。

 さらに、登下校の時間帯は車の乗り入れを禁じ、校区の広がっているところはスクールバスを走らせる。地域の事情にあわせた保護策をいち早くとり入れるべきだ。

 自治体の台所は苦しいが、子どもを守るために必要だ。地元の人たちや企業に加え、自動車産業の寄付でまかなう基金をつくって対策をとれないか。

4/30付朝日
 通行料収入で返済する仕組みだが、計画当時には想定しなかった体力低下に直面する日本経済への負担は小さくない。そして、今はピカピカの新東名も、いずれ更新が必要になる。

 国交省は、凍結していた高速道路の建設再開や4車線化、整備新幹線の新規着工、ダムの新設など、大型公共事業を次々と打ち出している。問題意識や危機感はないのだろうか。首相もこれに異を唱えないのはどうしたことか。

 経済成長でパイが大きく広がる時代はとうに過ぎた。早く頭を切りかえないと、後世に大きなツケを残す。


5/2付朝日
 今回の防衛協力強化には、米国の軍事費の実質的な肩代わりという懸念以上の問題点がある。私たちは専守防衛の自衛隊の定義から逸脱しかねない事態を招くことを危惧する。

 防衛協力の事例は、首脳会談の前にまとめた米軍再編見直しの中間報告に盛られている。

 まず、グアムや北マリアナ諸島で日米がそれぞれ費用を出しあって訓練場をつくり、共同訓練をする。

 次に、日本の途上国援助(ODA)を使ってフィリピンなどに巡視船を供与する。巡視船は武器扱いされるが、平和貢献・国際協力目的で武器輸出三原則の例外とする。昨年の三原則緩和で、事務的手続きのみで輸出できるようになった。

 一昨年の新しい防衛計画の大綱で打ち出した「動的防衛力」への転換と、南西諸島の防衛力強化の流れに沿う。ふだんの活動量を増やすことで抑止効果を高めるという動的防衛力が、いよいよ具体化に向かう。

 アジア太平洋地域での米国との共同訓練や、周辺国への巡視船の供与には、この海域で活動を活発化させる中国海軍に、にらみをきかせる狙いがある。

 こうした日米協力は、米国の対中戦略には合致するだろう。だが、日本にはどうか。

 日本がグアム近海で抑止効果を狙った訓練をすることで、どんな利点があるのか。抑止力ではなく、むしろ混乱要因にならないか。そもそも、この訓練をどう生かすつもりなのか。

 巡視船の供与は、軍事目的を避けるというODA大綱の理念に背かないか。06年にインドネシアに提供した際には、マラッカ海峡の海賊対策という名目があったが、今回は何のためか。


5/3付朝日
 日本国憲法は、だれのためにあるのか。

 答えは前文に記されている。「われらとわれらの子孫のために……、この憲法を確定する」と。

 基本的人権は、だれに与えられるのか。

 回答は11条に書いてある。「現在及び将来の国民に与へられる」と。

 私たちは、これらの規定の意味を問い直す時を迎えている。

 いま直面しているのは、将来の人々の暮らしや生き方をも拘束する重く厳しい選択ばかりだからだ。

 原発事故はすでに、何十年も消えない傷痕を残している。地球温暖化や税財政問題でも、持続可能なモデルをつくれるかどうかの岐路に立つ。

 ならば、いまの世代の利益ばかりを優先して考えるわけにはいくまい。いずれこの国で生きていく将来世代を含めて、「全国民」のために主権を行使していかねばならない。

 施行から65年。人間でいえば高齢者の仲間入りをした憲法はいま、その覚悟を私たちに迫っているように読める。


5/13付朝日
 人の最期を支える介護職たち。だが、一般的にいって、社会がその仕事を高く評価しているとは言い難い。約半分は非正規雇用。大量に採用され、短期間で大量にやめていく。月給は全産業平均より10万円安い。

 労働相談にのるNPO「POSSE(ポッセ)」には介護労働者から「高齢者を虐待してしまいそうだ」という声がよく寄せられる。事情を聴けば、人手不足や長時間労働によるストレスが浮かび上がる。

 彼らの給料の大半は、介護保険料と税とで賄われる。高齢者を含む私たちが負担増を受け入れなければ状況は改善しない。

 高齢化が進むため、25年までに介護職を今より70万~100万人ほど増やす必要がある。介護以外でも、様々なニーズが発生する。

 その提供を担う現役世代は、かつてとは全く違う社会を生きている。

(中略)

 家族をもち、子どもの成長に伴い必要となる保育・教育、住宅などの費用が、賃金だけでは十分に賄えない。介護労働者はその典型だろう。

 そんな現役世代を、年金や医療保険に入りやすくする。子育て支援策を広げ、子どもを産み育てやすくする。

 国会で審議入りした社会保障改革関連法案には、こんな内容が含まれている。

 部分的に異論はあるが、方向性は正しい。財源の手当ては不可欠だ。

 今いちど、考えたい。現役世代の幸せなくして、高齢者の幸せが望めるだろうか。

 消費増税をめぐる民主党内の対立、問責閣僚の更迭、小沢元代表の動き……。政局をにらんだ駆け引きのニュースが氾濫(はんらん)するなかで、本当に大切なことを埋没させてはならない。


5/15付朝日
 日本が主権を回復した1952年、国内の米軍基地の9割は本土にあった。その後、沖縄への移転、本土内での集約が進み、復帰時には59%が沖縄にあった。いまは74%で、「基地の中に沖縄がある」と言われる。

 この間、政府は沖縄の人たちの神経を逆なでしてきた。

 見通しが立たない米海兵隊の普天間飛行場の名護市への移設を「唯一の有効な解決策」と言い続けるのは、その典型だ。

 そもそも、なぜ沖縄に海兵隊が必要なのか。

 朝鮮半島や台湾海峡に近い戦略的要衝にある沖縄に存在することが「抑止力」になる――。政府はこう説明するが、戦略的位置づけには専門家の間でも議論が分かれる。近年は米議会からも「沖縄には必要ない」との声も上がっている。

 米軍の存在意義は、この40年で変化している。共産主義の防波堤から、冷戦後のテロとの戦い、朝鮮半島の有事対応、そして中国の脅威への備えと重点を移してきた。

 沖縄からすれば、基地存続ありきの理屈づけに見える。

 復帰40年の節目にあたって、原発と基地問題を対比する考え方が増えてきた。

 原発事故は、電力の受益者である多くの国民の目を、エネルギー政策に向けさせる契機になった。

 米軍の沖縄駐留による安全保障の受益者は、主に本土の人々である。だが、全人口の1%の沖縄県民がいくら訴えても、残る99%の間で、基地をめぐる議論は広がらない。

 猛烈な騒音被害も、事故への日常的な恐怖感も、本土の人々が共有しようとしないからだ。

 一方で、同じ沖縄の無人島の尖閣諸島をめぐる動きには、一部の人々が敏感に反応する。

 この落差は、安全保障をめぐる国民世論のいびつさを象徴しているように見える。

 経済的な支援策では埋めきれない不条理なまでの重荷を、沖縄は負っている。負わせているのは、本土の人々だ。

 この現実から目をそらすような安全保障政策を、いつまでも続けていくわけにはいかない。


5/16付朝日
 おとといは、日中韓首脳会議で北京を訪れた野田首相との個別会談に、中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が応じなかった。

 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領とは会っただけに、日本に対する異例の冷遇である。会議のホスト国としての誠実さに欠けるし、大国を自負する割には、あまりに大人げない態度だった。


5/13付読売
 外国資本による森林の買収が拡大している。

 林野庁と国土交通省がまとめた2011年の買収実績は157ヘクタールで、前年の約4倍に増加した。06年からの累計は、7道県で785ヘクタールに及び、北海道が全体の9割以上を占めている。

 読売新聞が今春、都道府県を対象に実施した調査では、買収面積は計1100ヘクタールに達し、政府の統計を大きく上回った。

 中国企業などが、仲介する日本企業の名義で買収する事例も表面化しており、調査結果は「氷山の一角」に過ぎないだろう。

 懸念されるのは、買収案件に地域の水源にかかる森林が多く含まれていることだ。利用目的がはっきりしないケースもある。水源地が乱開発される事態になれば、住民生活が脅かされかねない。

 外国人の土地保有を認める欧米でも、水源地周辺は所有や開発を規制している国が多い。政府は、水源地の売買や保有の実態を十分把握し、保全のために必要な規制を検討すべきである。


5/14付読売
 心の病を抱える教師が増加傾向にある。

 適応障害やうつ病といった精神疾患で休職した公立学校の教師は、この10年間で倍増し、2010年度は在職者の0・6%にあたる5407人にのぼった。

 職場でのうつ病などの増加は社会問題化しているが、教師の場合、一般患者数の伸び率をはるかに上回るペースだ。

 文部科学省が「深刻な状況にあり、子供たちにも影響が出る」と懸念するのは当然である。

 こうした教師の約半数は、異動で勤務先が変わってから2年未満に休職しているという。4月から新たな学校に赴任した教師も多かろう。校長など管理職は、十分に目配りをする必要がある。


4/30付毎日
 現状を打破しようというのだろう。橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会が打ち出している首相公選制導入は、古くは中曽根康弘元首相、最近では小泉純一郎元首相が提唱したように決して新しい議論ではない。公選制にすれば有権者の関心が高まり、責任も増す。有権者に直接選ばれた首相ならもっと指導力を発揮できるといった期待がある。

 ただし、公選制導入には憲法改正が必要だ。公選首相になった場合、国の元首は誰か、天皇制との関係から反対論がかねてあり、単なる人気投票に陥る懸念もある。さらに一歩進めて大統領制にした場合には、米国にみるように、議会とのねじれが生じる場合もある。与党をきちんと統治し、議会の多数派を握れば、一時期の小泉政権のように議院内閣制下の首相の方が強い権限があるという見方もあるのだ。

(中略)

 各党の党首の任期は衆院議員任期に合わせ4年とし、いったん選んだら安易に代えないルールも作る。そのうえで少なくとも1カ月近く党首選を続けてはどうか。メディアにさらされ続けることで候補者も成長するし、有権者が候補者の資質を知る機会にもなる。投票に参加できる党員がもっと拡大すれば事実上の「首相(候補)公選制」になる。

 私たちメディアも、そして有権者も、もう少し長い目で政治のリーダーを育てる意識を持ちたい。

 橋下氏らが「政治塾」をつくり、人材発掘や育成に乗り出す一方、経済界や学識経験者らで作る「日本アカデメイア」という団体も今年発足した。既に野田佳彦首相や自民党の谷垣禎一総裁を招いて意見交換し、今後も各党の幹部候補を招く。

 リーダーが育たないのは政党だけの責任ではない。経済界なども政治に文句をつけるだけでなく責任を共有したいとの思いがあるという。こうした動きも定着させていきたい。


5/6付毎日
 その間には、79年の米スリーマイル島原発事故、86年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故が原発の安全を大きく揺さぶった。07年の新潟県中越沖地震や99年のJCO臨界事故は、地震や放射能のリスクを教えたが、依存体制は揺らがなかった。

 それどころか、福島第1原発の過酷事故が起きた後も、「原発ゼロ」を回避する力が働いた。それに反して全原発停止が現実になった背景に、国民の強い意志が感じられる。

 昨年9月に毎日新聞が実施した世論調査では、「少しずつ原発を減らす」「できるだけ早くすべて停止する」という回答があわせて7割に達した。政府は、原発依存から脱却したいという国民の願いを軽視してはならない。

 今後、短期的には電力不足のリスクと原発のリスクをはかりにかけざるを得ない場面があるだろう。しかし、政府は「脱原発依存」と「40年廃炉」方針により、「原発ゼロ」社会をめざすことを表明している。であれば、この機会を「原発出口戦略」を練る好機と考えたい。

 まず、政府が示すべきは脱原発依存の工程表だ。そのためにも、政府が新しい規制組織による新しい評価基準に基づき、全原発のリスクを横並びで評価する必要がある。敦賀原発直下の破砕帯のように新たに認められるようになった立地のリスクも適切に評価し、危険なものから廃炉にしなくてはならない。

 原発の新増設や核燃料サイクルにかけてきた資金や人材を使用済み核燃料の処分や廃炉などに思い切って振り向け、「廃炉ビジネス」でも世界をリードしたい。

 いったん原発を始めた国は必ず放射性廃棄物の処分に直面する。ほとんどの国が見通しのないまま先延ばしにしてきた技術的・政治的課題であり、これに日本が挑戦することは国際的にも意味がある。


5/14付毎日
 生活保護率の高い大阪市は不正受給に厳しく対処し、自民党は給付水準を10%下げる案を公表した。たしかに生活保護費の約半分を占める医療扶助の適正化のために電子レセプトや複数の医療機関でチェックするセカンドオピニオンの徹底などが必要だろう。ただ、わが国の受給率は諸外国に比べて低く、むしろ必要な人が受給できていないという現実の方が問題だ。保護費抑制のために入り口を厳しく狭めるだけでは本質的な解決にはならないだろう。



4/28付朝日
 消費増税に反対する小沢氏らによる党分裂を避けるため、法案の採決を遅らせたい、あわよくば継続審議にしたい――。小沢氏との「融和」を重視する輿石東幹事長ら執行部の、こんな魂胆が透けて見えないか。

(中略)

 野田首相は早く、執行部に襟をたださせるべきだ。問責された2閣僚の交代をふくめ、国会正常化を急ぐのは当然だ。


5/1付朝日
 人口6千万あまりのミャンマーの市場とその発展を、日本の経済界は熱く期待している。来日した大統領のもとには、多くの企業トップが訪れていた。

 だが、「民主化なくして援助なし」という姿勢を、日本政府は堅持しなければならない。


5/3付朝日
 国民の多くは、必ずしも急進的な脱原発を志向しているわけではないだろう。電気が足りなくなることで「生活や経済に悪い影響が出るのでは」と心配している様子は、朝日新聞の世論調査からも浮かびあがる。

 それでも、福島事故を目の当たりにした以上、原発はいったんゼロベースから考え直さなければならない。そう思うのは自然なことだ。

 であれば、政治が取り組むべきことは明らかだった。

 例えば、稼働から40年以上たつ美浜や敦賀といった老朽炉、巨大地震のリスクが高い浜岡をはじめとして、原発を減らしていく意思を明確に打ち出す。

 使用済み核燃料や閉鎖した炉などの放射性廃棄物をどう処理していくか、本腰を入れて取り組む姿勢を示す。

 原発の停止で電力が足りなくなるのを見越して、節電を組み込んだ電力調達市場を昨年のうちから整備することも、柱の一つだったはずだ。

 しかし、野田政権は「脱原発依存」を掲げながら、規制当局の見直しをはじめ、何ひとつ現実を変えられていない。

 再稼働についても、ストレステストをもとに形式的な手順さえ踏めば、最後は電力不足を理由に政治判断で納得を得られると踏んだ。

 これで不信がぬぐい去れるわけがない。福島事故で覚醒した世論と、事故前と同じ発想で乗り切ろうとする政治との溝は極めて大きい。

【核論に関しては否定するわけではないが、この部分に大いなる誤りがある。それならば、せっかくのチャンスであった菅直人をやめさせるよう仕向けたのか。これはマスコミおよび全国人の大罪である。】


5/10付朝日
 民主党が、無罪判決を受けた小沢一郎元代表の党員資格停止処分を10日付で解除する。

 いかにも、民主党らしい対応ではないか。やるべきことと、実際にやることが違うのだ。


5/1付読売
 太陽光、風力発電は、用地確保や発電設備の耐久性などに課題が多い。「脱原発依存」への道は決して平坦(へいたん)ではない。


5/3付読売
 憲法が、連合国軍総司令部(GHQ)の案を基に作成されたことは周知の事実である。自民党が2005年の草案を見直し、改めて国民的な憲法改正論議を提起したことは評価したい。

(中略)

 安全保障に関して新草案は9条の戦争放棄を堅持し、「自衛権の発動を妨げるものではない」との一文を加えた。自衛隊は「国防軍」として保持するとした。政府見解が禁じる集団的自衛権の行使を、可能にすることを明確にした。

 政府は、国民と協力して領土を保全し、資源を確保しなければならない、との条項も設けた。

 いずれも妥当な判断だ。

 中国の海洋進出、北朝鮮の核開発など、日本の安全保障を巡る環境が厳しさを増す中、集団的自衛権の行使を可能にし、日米同盟を円滑に機能させる必要がある。


5/4付読売
 主要な論点は二つある。「脱原発」を目指すのかどうか。各原発などに大量に存在する使用済み核燃料をどう処理するかだ。

 試算は、2020年以降は原発ゼロとする場合と、最大で現状並みに発電量の20~35%を原発で賄う場合に分け、30年までの使用済み核燃料の処理費用を出した。

 日本は、これまで、使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出し、核燃料に再利用する「核燃料サイクル」を採用してきた。

 ウラン資源を有効活用でき、放射性廃棄物の量も大幅に減らせる利点があるためだ。

 原発をゼロにすると使用済み核燃料の増加は止まる。残る使用済み核燃料は、そのまま地中に埋める「直接処分」だけになり、他の政策を選ぶより最大で約5兆円コストが下がる、としている。

 問題は、原発に代わる火力発電の燃料費だ。年に約3兆円、30年までに計約30兆円以上かかる。負担の大きさからも、脱原発は非現実的な政策と言えよう。

 一方、原発利用を続けたまま直接処分に完全に切り替えると、費用は約2兆円拡大する。

 核燃料サイクルより放射性廃棄物の量が増え、その分コストが膨らむからだ。青森県六ヶ所村で完成目前の核燃料再処理工場も廃棄され、投資が無駄になる。

 この場合も、代替の燃料費が深刻な問題となる。

 核燃料サイクル政策を放棄すると、青森県との約束で、これまでに六ヶ所村に搬入された使用済み核燃料約3000トンが、各原発への返送を迫られる。

 使用済み核燃料の置き場が満杯になる原発も多く、運転できなくなる。順次止まる原発を火力発電で補うと、30年までに最大32兆円の燃料費が必要と試算された。

 いずれにせよ、電力料金は大幅に上がる。産業界や家庭にとっては大打撃となろう。

 やはり、再処理工場を完成させることが必要だ。

 核燃料サイクルは高い技術を要するが、核兵器を持たない国で実用段階にあるのは日本だけだ。簡単にあきらめるべきではない。


5/5付読売
 東京電力福島第一原発の事故の影響で、定期検査で止めた原発を、検査を終えた後も再稼働できなくなっていることが原因だ。

 事故の教訓を踏まえ、原発の安全性を再確認するのは重要だ。だが、政府の原子力政策が迷走し、再稼働への手続きにブレーキをかけた点は看過できない。

 菅前首相による突然の「脱原発宣言」など場当たり的な対応は、原発への不信を増幅させた。「やらせメール問題」をはじめ、電力会社や原子力安全・保安院の不祥事も、足を引っ張った。

 野田首相らは4月中旬、新たな判断基準で関西電力大飯原発3、4号機の安全を確認し、再稼働は妥当だと判断した。しかし、地元の理解を得られず、調整はなお難航している。枝野経済産業相の発言がぶれた影響も大きい。

 このままでは電力需要が膨らむ夏に間に合わない恐れがある。

 特に大飯原発のある関電管内は原発依存度が高い。再稼働しないと、猛暑時の電力不足は約15%にのぼるという。法律による節電の義務づけや計画停電が、必要になるかもしれない。

 首相が先頭に立ち、大飯原発の再稼働実現に向け、地元の説得に全力を挙げるべきだ。


5/12付読売
 新潟県の柏崎刈羽原発を1基再稼働すると、東電の収支は約800億円改善する。値上げを3年で終えるには、7基ある原子炉を来年度から順次、再稼働する必要がある。現状では実現への道筋は描けていない。

 東電は7月から値上げしたい考えだが、新たに有識者委員会による査定が追加された。枝野経済産業相が認可するタイミングは、遅れる可能性が強まっている。

 枝野氏は「予断を持たず、厳格に査定していく」としている。申請内容をチェックし、妥当な値上げ幅を精査することは重要だが、いたずらに手続きを煩雑にするのは避けるべきだ。

 枝野氏が自ら、値上げ案を明記した事業計画を認定したことを、忘れてはならない。

 4月からの企業向け料金値上げは、東電の説明不足が原因で対象企業の3割が値上げに応じていない。協力した企業が損をするような状況では、一般家庭も値上げに納得がいかないだろう。東電は問題解決を急がねばならない。

 値上げで利用者が負担するお金は、液化天然ガス(LNG)など火力燃料の輸入に充てられ、国外流出する。震災後、日本の貿易収支は過去最大の赤字に転落した。経済力の低下は食い止めたい。

 火力への依存を減らすことが急務だ。政府は原発再稼働への取り組みを加速させるべきである。


5/15付読売
 最近は、中国の軍艦や政府船による尖閣諸島周辺などでの活動が恒常化している。中国海空軍の急速な増強と近代化を踏まえれば、今後、沖縄の安全保障面の地政学的重要性は一層大きくなる。

 政府は、この現実を直視し、自衛隊と米軍の防衛協力を基盤とする日米同盟の抑止力と実効性を堅持しなければならない。


5/16付読売
 しかし、政府の対応策が、供給力に少し余裕のある中部、中国、北陸、四国の4電力管内にも5%などの節電を求め、関電管内に電力を融通する仕組みを前提にしていることは疑問である。

 融通側の4電力も、老朽化した火力発電所をフル稼働するなどギリギリで、発電所が故障で止まる可能性は通常より高いはずだ。融通分をあらかじめ関電の供給力に上乗せするリスクは大きい。

 4社の融通を計算に入れないと関電の節電目標は15%から20%に上がる。その場合も想定し、対策を練り直す必要がある。

 大幅な節電は、経済や生活にダメージを与える。

 昨夏、電力制限が実施された東京電力と東北電力の管内では、企業が工場の操業を土日に移すなどの工夫をしたが、従業員への負担は大きかった。生産体制の縮小や、停電を懸念した海外移転の加速など様々な問題も顕在化した。

 猛暑になれば、エアコンを我慢した高齢者の熱中症など、無理な節電の健康被害も心配だ。節電はあくまで「窮余の策」である。

 福井県の大飯原発2基を再稼働すれば、関電管内の電力不足はほぼ解消する。

 ところが、関電の大株主でもある大阪市の橋下徹市長は、再稼働反対の立場から「電力使用制限令を認識、経験するのも必要かな」などと述べた。電力不足の悪影響をあまりにも軽視している。

 地元のおおい町議会が再稼働に同意するなど、打開への動きもある。政府は夏までの再稼働実現に向け、全力を挙げるべきだ。


5/17付読売
 自民党内には、原発を推進したいわゆる「原子力ムラ」の徹底的な排除を求める声がある。原子力規制委が反原発派の有識者らで占められることになると、規制行政が国の原子力政策を左右することにもつながりかねない。

 原子力規制委の下に置かれた場合、規制庁に有能な人材がどれだけ集まるか、も心配だ。


4/29付日経
 では、どうすればよいか。その答えは今回、海兵隊が再編に乗り出す理由の中にひそんでいる。

 米軍の狙いは台頭する中国軍に対抗することだ。このため、海兵隊の拠点を各地に分散させ、それらをつないで網状の安保体制をアジア太平洋につくろうとしている。このほうが、中国軍の攻撃を受けづらくなるとの読みもある。


5/5付日経
 天然ガス火力や太陽光発電などの拡大は一朝一夕には進まない。電力の安定供給には原発を再稼働させ、供給力に一定の余裕を持たせておく必要がある。地震や津波に対し十分な安全の余裕があることが再稼働の前提条件だ。電力会社は運転再開後も、たゆまず安全向上の改善に努める重い責任を負っている。

 関西電力の大飯原発3、4号機の再稼働について、政府と関電は地元自治体に対し、意を尽くして説明し理解を得る努力を重ねてほしい。自治体側も、すでに講じられた安全対策をよく吟味し「動かすリスク」と「止めるリスク」を勘案して判断する必要がある。


5/10付日経
 政治資金規正法に違反していなければ、道義的・政治的な責任がなくなるわけではない。裁判が続くかどうかにかかわらず、国会の場で説明責任を果たすべきだ。

 民主党執行部の対応もおかしい。小沢元代表が強制起訴された昨年、「無罪確定まで」という条件で党員資格停止処分にした。これは公党としての国民への約束というべきものだ。控訴期限までのわずかな期間をなぜ待たなかったのか。一審判決だけでの処分解除は公約違反で、党内外にかえってわだかまりを残したともいえる。


5/13付日経
 全原発停止の非常事態に際してやむを得ない面もあるが、過度な火力依存をそのまま固定化してはならず、一定数の原発を稼働させつつ、自然エネルギーの拡大などを目指すのが望ましい。

 政府は東京電力・福島第1原発事故を受け、長期の国家エネルギー戦略の見直しを進めている。原子力や火力、自然エネルギーなどを組み合わせ、どうやって電力の安定供給を果たすか議論しているが、温暖化対策の観点がなおざりだ。CO2は際限なく出せるのではなく、排出の制約があることを忘れてもらっては困る。

 地球温暖化が原因とみられる干ばつや洪水は世界が直面する現実の脅威だ。気象災害による難民の増加や農業の不振は成長の妨げともなり途上国の政治や社会の不安定化につながる。日本列島を襲う「爆弾低気圧」の増加も近海の水温上昇が一因とみられる。


(中略)
 25%目標は09年に当時の鳩山由紀夫首相が打ち出した。温暖化抑止のため先進国に要求された高い努力目標をそのまま採用、トップダウンで国際公約とした。

国際枠組み刷新の好機

 日本が率先して高い目標を掲げ米中にも高めの目標設定を促す狙いがあったが、思惑ははずれた。また高い目標を掲げる意義を国民に理解してもらい実行に移すこともできないまま、見直しを迫られている。そうした読み違いを反省する必要もある。


4/29付毎日
 ところが89年参院選を境に自民党支配が揺らぎ、やがて参院対策が連立など政権の枠組みを左右するようになった。自民、民主が05年、09年衆院選でそれぞれ圧勝すると次の参院選で揺りもどすような大敗を喫し、政権は「ねじれ」の克服にあえいでいる。

 現在の与党は衆院再議決もままならず、参院が法案の命運を握る。3年ごとの改選で同じ政党が続けて単独過半数を制することは難しく、ねじれは常態化する可能性がある。

 与野党が慣行作りに努力することでかなりの混乱を回避することは可能だ。予算の財源に関する法案、国会同意人事について衆院議決を優先することや、閣僚の問責決議後に審議拒否戦術を用いないルールを合意するだけで国会は様変わりする。

 憲法が定める両院協議会が機能していない点も問題だ。各院議決の多数派だけ出席する方式の見直しや、成案を得る要件を緩和するなどの方策を速やかに講じるべきだ。

 そのうえで腰を据え、衆参両院の役割と機能を議論してはどうか。選出方法が異なるゆえに役割が違うというのが本来、2院制の意義のはずだ。だが、今の日本は逆の悪循環に陥りつつあるようにみえる。


5/9付毎日
 法案の行方に政権の命運がかかる首相だが、参院で問責決議を受けた2閣僚を続投させ論戦にのぞむようでは覚悟に疑問符がつく。自民党の谷垣禎一総裁の責任も重い。具体的な対案を早期に党がまとめるよう、指導力を発揮しなければならない。

 閣議決定から1カ月以上を経た。成立には会期の延長が避けられない状況だ。しかも、与党内にはそれでも決着は困難として先送り論が広がる。すでに瀬戸際である。

 ところが首相は公選法違反の疑惑を抱える前田武志国土交通相、能力に疑問符がつく田中直紀防衛相を交代せず審議にのぞみ、答弁でも続投方針を示した。自民党が全面審議拒否方針を転換したのは当然だとしても、だからといって2閣僚の問題が消えたわけではない。

 これでは野党側の強硬姿勢をあおるようなものだ。ねじれ国会の下で消費増税法案や予算関連法案の成立を迫られる重みをどこまで認識しているのか。

 衆院議員の任期満了まで増税を実施しないのだから消費増税方針は政権公約違反ではないとする首相の論法も説得力に乏しい。路線を変えた事情を率直に説明し、国民に真摯(しんし)にわびるべきであろう。


5/9付毎日
 党の決定などいとも簡単に変えられるものらしい。民主党が政治資金規正法違反事件で無罪判決を受けた小沢一郎元代表に対し、党員資格停止処分を解除することを決めた。

 拙速で無節操だというほかない。元代表が強制起訴されたのを受け、昨年2月、党が処分を決めた際には、処分の期間は「判決確定まで」となっていたはずだ。今回の東京地裁判決を受けて指定弁護士は期限の10日までに控訴するかどうかを決めることになっている。最低限、それを待つのが道理である。

 解除を急いだのは、仮に控訴が決まり裁判が続くことが確定すれば解除は難しくなると考えたのだろう。判決直後から処分解除を主導した輿石東幹事長は、党の指針では党員資格停止期間は「原則として6カ月を最長」としており、そもそも小沢元代表の処分が例外だったのだから解除も例外が許されるといいたいようだ。だが、そんな理屈が通るとすれば、民主党そのものに対する信用は失われるばかりだ。

 無罪とはいえ、小沢元代表に対する地裁判決は、元秘書らが政治資金収支報告書を虚偽記載したと認定する一方、元代表が「報告書は一度も見ていない」などと法廷で発言した点も「およそ信用できない」と厳しく指摘している。こうした政治家としての責任をどう考えるのか、民主党執行部がきちんと検討したようにも見えない。

 何より小沢元代表はこの事件に関し、一度も国会で説明していない。野党は今国会でも元代表の証人喚問を求めている。党執行部が元代表に国会への出席を約束させたうえで解除する方法もあったはずだ。


5/10付毎日
 東京高裁で改めて審理されることになった。民主党元代表の小沢一郎被告の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件だ。

 東京地裁は先月26日、元代表に無罪を言い渡した。指定弁護士はこれを不服として控訴し、会見で「看過しがたい事実誤認があり、指定弁護士の職責を果たすのは控訴することと判断した」と理由を述べた。市民からなる検察審査会は、法廷という公開の場で刑事責任を明らかにすることを望み強制起訴を決めた。その意思もくんだということだろう。

 地裁判決は、衆院議員、石川知裕被告ら元秘書3人による政治資金収支報告書の虚偽記載を認定した。元代表が自ら提供した4億円の簿外処理について報告を受け、了承していたことも認めた。ただし、元代表に違法な記載との認識がなかった可能性があるとして無罪の結論を導いた。指定弁護士の立証をかなり認めた内容であることは間違いない。

 それでも、検察が2度までも不起訴とし、無罪になった事件だ。虚偽の内容を記した捜査報告書の作成問題など検察の不手際も重なった。控訴審での新たな証拠提出も難しい。とすれば、「これ以上元代表を被告の立場におくべきではない」という意見も故なしとしない。

 ただし、裁判は3審制だ。判決内容を徹底分析し「修正可能」と3人一致で決断した以上、第三者が横やりを入れるべきではない。高裁で粛々と審理を進めてもらいたい。

 それにしても、民主党が元代表の党員資格停止処分解除を決めたのは拙速だった。元代表は今後も被告の立場だ。小沢グループが無罪判決を受けて党内をかき回すのは当然好ましくない。自重して活動すべきだ。


5/14付毎日
 近年、首脳外交の比重は極めて重いものがある。欧州では、メルケル独首相と金融危機対処で連携し「メルコジ」関係とも言われたサルコジ仏大統領がオランド氏に交代し、独仏関係だけでなく欧州、世界にも大きな影響を与えている。首脳の哲学、統治能力が世界を動かす時代だ。

 これまで5回の日中韓首脳会談に中国は温家宝首相、韓国は李明博(イ・ミョンバク)大統領がずっと出席した。その中韓首脳の顔ぶれが来年から変わる。毎年のように出席首脳が違う日本は、果たして3カ国の政治意思形成に、どれだけ主導権を発揮できるのか。よくよく考えるべきだろう。


○ & ?
5/15付毎日
 毎日新聞と琉球新報の共同世論調査では、沖縄への米軍基地集中について沖縄の69%が「不平等だ」と回答、全国では33%だった。普天間移設は、「県外」「国外」「撤去」の合計が沖縄89%、全国63%だった。

 本土も沖縄も安全保障上の利益を等しく享受しながら沖縄に基地が集中していることに、県民は強い不満を抱いている。数字は、本土と沖縄の意識の隔たりも示している。

 厳しさを増す東アジアの安全保障環境を考えれば、在日米軍をただちに大幅削減することは難しい。選択肢は限られている。解決には、本土が負担を引き受ける以外にない。

 日米両政府は、在沖縄米海兵隊のグアム移転を普天間移設から切り離し、米空軍嘉手納基地以南の5施設・区域を先行返還することで合意した。実現すれば沖縄の負担軽減と経済振興に結びつく。早急に返還時期を確定し、着実に実施すべきだ。さらに、他の米軍施設についても返還の可能性を探るよう求めたい。

 同時に必要なのが、沖縄の基地や訓練場の本土移転である。本土側が沖縄の意識を共有することが第一歩であり、政府の努力が不可欠だ。

 米議会の有力議員が主張する普天間を嘉手納基地に統合する案は、現在の嘉手納基地機能の一部移転が前提になる。それなしには沖縄の理解は得られない。移転先は本土が想定される。また、普天間移設実現まで普天間の機能を分散移転する場合も本土の協力が欠かせない。

 沖縄の地理的条件から本土への移転は抑止力低下になるとの見方があるが、装備品の近代化・技術革新で米兵力の即時対応能力は向上している。米軍に代わって自衛隊が役割を分担することも一つの方策だろう。

 沖縄で米軍基地拒否がうねりになれば、基地の円滑な運営、安全保障政策の効果的推進は不可能となる。

 政府も、本土も、沖縄の「叫び」に正面から向き合うべきである。



5/5付毎日
現役の負担は増えない
 ここは世の「肩車型=悲観論」の常識を疑ってみようではないか。

 現役(15~64歳)と高齢者(65歳以上)の人口比がいずれ1対1になるのは間違いないとして、社会保障の安定性を考える上で大事なのは働いて所得を得ている層と「支えられる側」の比率であることを忘れてはならない。「支えられる側」にいるのは高齢者だけではない。戦後間もないころの親は大勢の子供たちを育てていたが、今は子供の数が減り続けている。

 また、以前の「支えられる側」には専業主婦、障害者、病気の人も含まれていたが、今は専業主婦世帯よりも共働き世帯の方が増え、障害者の雇用率も上がっている。また、65歳を過ぎても働いている高齢者は以前と比べものにならないほど多くなった。ひきこもりやニートなど現役世代で働いていない人もいるが、これらのデータを含めて総合的に見ると、「支える側」と「支えられる側」の比率はこの数十年ほとんど変化がない。今後も高齢者や主婦が働いて「支える側」が厚くなれば、高齢化率の伸びほどには現役世代の負担は増えないだろう。

 もう一つ、悲観論の根拠である「高齢化に伴って社会保障費が毎年1兆円ずつ増え、世代間格差が広がる」という説も考えてみよう。

 3世代同居が当たり前だった時代は、老いた両親の介護や子供の保育はもっぱら妻の役割とされ、その妻を含めた大家族全員の生活費を現役世代の夫が一人で支えていた。ところが、核家族やひとり暮らしが当たり前になり、子供の数も減ってくると、親の介護や保育の負担は相対的に軽くなる。老いた親も年金や預金で生活できるようになれば、現役世代の経済的負担は少なくなる。

 もちろん、無年金や低年金の高齢者は多く、親の介護のために離職する人も後を絶たないが、年金も介護保険もなかったころに比べれば、今の現役世代の負担は一概に重くなったとは言えない。むしろ1人当たりの相続財産は以前より多く、教育を受ける機会や費用も増えている。「肩車型」のイメージと世代間格差の実相はかなり違うと考えるべきだ。

 国家財政レベルでは社会保障費の増加は圧迫要因かもしれないが、増加分が介護や保育サービスの充実に回れば、現役世代の家族内の負担は軽減されていく。もともと社会保障は所得の多い人から税や保険料を多く集め、所得の少ない人に回す再分配の機能を持つ。費用の膨張だけでなく、再分配が有効に機能しているかどうかが問題なのである。


5/3付毎日 記者の目
 もう一つ強く印象に残るのは、日米政府やメディアによるEUへの異様な集中砲火だ。大挙して押しかける日本メディアにドイツ政府関係者は「先進国はどこも高齢化で支出が増える一方、増税は難しい。日本も同じ課題を抱えているはず」と首をひねった。

 米国の公的債務残高は国内総生産(GDP)の101%に達する。ユーロ圏ならとっくに自動制裁を受けるレベル(60%)だ。日本に至っては、ギリシャの165%よりはるかに高い212%だ。

 米国は大統領選への配慮があったことは容易に想像できる。日本政府関係者は「欧州危機が深まるほど日本には有利」ともらした。足元の危機から国民の目をそらすために欧州危機を強調しようという、よこしまな意図があったのではないか。4月のG20に参加したショイブレ・ドイツ財務相は、日米を念頭に「自分の問題を他人(EU)に転嫁する悪癖」を厳しく批判した。残念だが、同感だ。

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