« 早立ち | トップページ | 群Q例会 »

2012年7月21日 (土)

社説を読む 第24回


7/16付日経
 日本の著作権制度をクラウド時代に合うよう改め、消費者に使いやすいネット配信の市場を広げるには、次のような3つの視点が必要だ。「守るより流通を」「複製でなく閲覧を」「罰則より教育を」である。

 「守るより流通」というのは、著作権は尊重するが、消費者による複製は一定範囲で自由にできるようにすることだ。利用者が増えなければ市場は広がらない。ソフトの単価も安くし、代わりにデジタル技術を駆使して利用料を確実に徴収することが重要だ。

 「複製でなく閲覧」というのは、複製した場合に著作権料を徴収するのではなく、消費者が見に来た場合に「閲覧料」を取る仕組みを作ることだ。これまで録音や録画を行う機器や媒体に料金を課したが、クラウド利用が広がればこうした手段は時代遅れとなる。


罰則より教育が重要に


 今回の法改正では一部議員による修正を十分に審議せず、違法ダウンロードに罰則が設けられた。個人の行為に刑罰を科すことにはもう少し慎重であるべきだったといえよう。海外にも罰則はあるが、10月の改正法施行後は恣意的な運用がないように願いたい。

 「罰則より教育」が重要なのは、違法ダウンロードが増える背景に「ネットは何でも無料」という消費者の風潮があるからだ。著作物を利用するには相応の対価が必要だということをきちんと教育していく必要があろう。


7/18付日経
 電力不足の長期化で産業の空洞化が懸念され、電力会社を選べないことに消費者の不満も強い。競争を通じて供給力を高め、新たな電力ビジネスを起こして経済を活性化することは何より重要だ。1951年から続く電力事業の「地域独占」を崩し、抜本改革を求めた専門委の案を評価したい。

 ただ、自由化すればすぐに競争が活発になるわけではない。大企業向けの売電はすでに自由化されているが、既存の電力会社以外の「新電力」のシェアは3%にとどまる。専門委が年内にめざしている詳細な改革案づくりでは、こうした「規制なき独占」を生まないように知恵を絞ってほしい。

 全面自由化で期待される効果は大きい。消費者は料金が少しでも安い電力会社を選べるようになる。自然エネルギーだけでつくった電気を売る企業が登場し、太陽光発電などの導入を後押しする。電力会社が季節・時間帯別料金など多様なメニューを競えば、節電の動機づけにもなる。

 そのためには、できるだけ多くの発電会社が参入し、既存の電力会社と対等な条件で競争できる仕組みづくりが欠かせない。


7/14付毎日
 多くの人が長年疑問に思い、必死に変えようとしてきた人もいるのに変わらなかったことが、動き出している。精神科医療における保護者制度である。厚生労働省の検討会は精神保健福祉法の「保護者の義務」や医療保護入院の廃止を打ち出した。保護者に過度の責任を負わせ、患者自身の人権侵害にもつながる制度の廃止はぜひとも実現すべきだ。

(中略)

 わが国の医療や福祉は親の責任や家族内の支え合いが非常に重く見られてきた。弱まってきた家族機能を社会全体で支えようという政策が民主党政権の特徴でもあり、そうした流れの中で保護者制度の廃止が浮上したともいえる。今後のわが国の福祉のかたちを占う上でも注目に値する制度改革なのである。


7/18付朝日
 電力事情が最も厳しい関西電力管内では、需要がピークの午後4時台で約2500万キロワットと供給力の89%だった。余力は約300万キロワット。原発約3基分に相当する。

 この夏、関電管内で需要が2500万キロワットを超えたのはきのうが初めてだ。昨年は同じ17日段階で5回あった。

 7月以降のピーク時の使用率も、おおむね供給の80~90%にとどまった。

 ここ半月ほどをみれば節電効果は着実にあらわれている。企業だけでなく家庭でも、人々が電気の使い方に気を配っている結果といえるだろう。

 こうしたなか、関西電力は18日、大飯原発4号機を再起動する。フル稼働になるのは早くて今月25日だという。

 すでにフル稼働している3号機とあわせ、計236万キロワットが原発から送られる。

 10~20%の余裕があるのに、当たり前のように再稼働を進めることには抵抗感がある。

 需給が最もひっぱくするのは、梅雨明けから4号機がフル稼働するまでの間だといわれている。だが、関電の予想では24日までの使用率は82~89%、その後も27日まで最大で82%だという。現状では計画停電なしですむ水準だ。


7/19付朝日
 原発の重要施設は活断層の上にはつくれない。だが、日本原電・敦賀原発、北陸電力・志賀原発、関西電力・大飯原発、美浜原発などで疑いが出てきた。

 きっかけは昨年4月、福島県南部での地震だ。電力会社や国が「動かない」といってきた断層がほかの断層と一緒に動き、大きな揺れにつながった。各地で断層を調べ直したところ、活断層の疑いが続出してきた。

 背景には過去のずさんな審査がある。敦賀原発では、4月に改めて現地調査に行った原子力安全・保安院の専門家会議が、直下の断層と近くの浦底断層が一緒に動く可能性を認めた。

 今月17日の専門家会議では、志賀原発の真下の断層について、「典型的な活断層。よく審査を通った」との声さえでた。

 安全行政の甘さがまた浮き彫りになった形だが、電力会社にも問題があった。専門家が活断層の可能性を指摘しても、否定を繰り返し、十分に資料や情報を公開してこなかった。

 福島原発事故に関する国会事故調査委員会は、津波の新知識が出ても、規制導入で安全に疑問符がつくことを避けるため、政府、電力会社とも規制改善に否定的だったと批判した。

 活断層についても、「積極対応すれば運転が危うくなる」との姿勢があったのではないか。日本は地震列島である。「大したことは起きないだろう」という、根拠の薄い楽観主義に陥ってはならない。


7/19付朝日
 同盟関係にある国が攻撃されたら、それを自国に対する攻撃とみなし、実力で阻止する。これが国連憲章で認められた集団的自衛権だ。

 どの国にもある権利だが、日本には憲法9条があるから行使しない。政府はこういう立場をとってきた。

 野田首相が、こうした政府の憲法解釈の見直しに前向きな姿勢を示している。集団的自衛権を全面的に認めようとしているのか、その目的は何なのか。真意は明らかではない。

 だが、憲法9条のもと必要最小限の自衛権しか行使しないというのが戦後日本の防衛政策の基軸であり、世界中で軍事行動を展開する米軍と一線を画する役割を果たしてきた。

 こうした立場を、ゆるがせにすべきではない。

 きっかけは、野田政権の有識者会議「フロンティア分科会」が提言の中で憲法解釈の見直しを明記したことだ。

 これを受けて、首相は国会答弁で「提言も踏まえながら、政府内での議論も詰めていきたい」と語った。

 一方、自民党も前後して、集団的自衛権の行使を認める「国家安全保障基本法案」の概要をまとめた。党のかねての主張に沿ったものだ。

 もともと首相自身、野党時代は「この問題をクリアしない限り、自衛隊を海外に出す話など本来はしてはいけない」と自著で主張していた。

 ただ、首相になってからは持論を抑えてきた。国内世論や周辺国の反発を招くという判断からだろう。

 その姿勢が変わったのは、なぜか。

 社会保障と税の一体改革法案が衆院を通り、次の課題に取り組む余裕ができたのかもしれない。離党者が相次ぐなど政権基盤が揺らぐ中で、自民党との連携をさらに深めようという狙いもあるのだろう。

 だとしたら、あまりにも軽いと言わざるをえない。

 この問題だけではなく、このところ対米防衛協力で野田政権の前のめりの姿勢が目立つ。

 昨年末には武器輸出三原則を緩めた。4月末の日米首脳会談では、グアムや北マリアナ諸島で日米共同訓練をしたり、政府の途上国援助(ODA)を使ってフィリピンなどに巡視船を供与したりすることを決めた。

 この間、国会でこれらの問題が十分に議論されたとはとても言い難い。

 米軍とのなし崩し的な一体化の行き着く先が今回の発言なら、あまりにも危うい。


7/20付朝日
 原発に依存しない安心な社会をつくっていく。そのためには、発電全体での原発比率を下げるだけでなく、核燃料サイクルからの明確な撤退方針を示すことが必要だ。

 関係閣僚による「エネルギー・環境会議」は8月末、今後のエネルギー政策の方向性を決める。2030年での原発依存比率は、0%、15%、20~25%の選択肢を検討している。

 その際、使用済み燃料の処分方法も決める。原発を止めても立ちはだかる使用済み燃料の保管・処分問題をどうするか。日本は今、大きな岐路に立つ。

 使用済み燃料をすべて再処理し、プルトニウムをとり出して燃料として使う。この全量再処理・核燃料サイクルが日本の原子力政策の要となってきた。

 エネルギー・環境会議は、原発ゼロなら全量を再処理せず、地下に埋設する直接処分が妥当で、あとの二つの場合は直接処分と再処理の両方があり得るとの見方を示している。だが、中途半端な結論にせず、再処理路線から直接処分の方向へ、明確にかじを切るべきだ。

 今後の日本では、原発を増やすことは考えにくい。ウラン燃料の使用量が減るのに、わざわざ再処理して割高のプルトニウムを使うのは合理的でない。

 日本が、経済的に見合わないのに、核兵器の材料ともなるプルトニウムの大規模利用をめざせば、それをまねて再処理に動く国が続出しかねない。そうなれば世界の核不拡散体制にも悪影響を与える。

 だからこそ、使用済み燃料を再処理せず、数十年の間、中間貯蔵したあと直接処分するのが、得策と考える。


7/20付毎日 記者の目
 原発の使用済み核燃料をどう処理するか。この夏、国民的議論が少しは深まるものと期待していた。ところが政府の「エネルギー・環境会議(エネ環)」は将来のエネルギー戦略を国民に問う取り組みから、この問題を除外してしまった。従来通り再処理路線(核燃料サイクル)を維持するか、ごみとして埋めるか。政府は「将来の原発依存度に応じて政府が決める」と言うが「国が決めて国民に理解させる」という古い手法を改め、広く国民を巻き込んだ対話の場を設けることを提案したい。


7/18付毎日
 意見聴取会は、2030年時点での原発の比率を0%、15%、20~25%とした政府の選択肢について、それぞれを支持する国民から考えを聞くものだ。パブリックコメントの募集、議論とアンケートを組み合わせた「討論型世論調査」と並び、今回の政策決定に国民の意見を生かす有力な手段として取り入れられた。

 全国11カ所で開催するが、これまでに開かれた3回のうち、仙台市では東北電力の企画部長が、名古屋市では中部電力原子力部の課長が、いずれも原発推進の立場で意見を述べた。発言者は、1会場9人に限られる。その1人が、原発推進の当事者である電力会社の幹部では、「国民の意見を聞く」という会の趣旨に反するし、公平性も疑われる。

 聴取会の仕組みそのものにも疑問がある。発言者が一方的に考えを述べ、質疑も議論もない。意見はまったく集約されないが、これをどうやって政策決定に反映させるのか。

 事務局を務める広告代理店によると、名古屋では応募者のうち原発比率0%支持が7割弱、20~25%は2割強で、仙台でも応募者の約7割が0%支持だった。こうした比率を見ると、発言者を各選択肢につき3人ずつとすることにも疑問が残る。

 さらに、仙台では首都圏在住者3人が発言者に選ばれ、原発の必要性を訴えた。名古屋でも、発言者のうち4人が関東・関西在住だった。

 全国で開催するのは、原発立地の有無などにより、地域によって見解も異なりうるという前提で、各地域の意見を聞くためだろう。より地元の声を反映させる形での運営が望ましい。


7/18付毎日
 大阪市の橋下徹市長が市議会に提出した、職員の政治活動を規制する条例案の委員会審議が始まる。地方公務員法にない「原則懲戒免職」の規定を設け、禁止の範囲も国家公務員並みに広げたものだが、市議会最大会派「大阪維新の会」と第2会派の公明市議団との協議で、「原則免職」は緩和される方向になった。

 だが、公務員も政治的中立を損なわない限り、思想・良心、表現の自由を認められているはずだ。条例による規制は、憲法が保障した個人の基本的権利を侵害しかねない。

(中略)

 橋下市長は「地方分権の時代には国家公務員並みの制約が必要」と主張する。しかし、自治体職員は市民活動に接触する機会も多い。脱原発の集会への参加や消費増税反対のビラ配布はどうなのか。規制の線引きはあいまいだ。

 国家公務員の政治活動の規制をめぐっては、違憲判決も出ている。東京高裁は10年、休日に共産党機関紙を配布した旧社会保険庁職員に対し「処罰は国家公務員の政治活動の自由に対する限度を超えた制約」と逆転無罪を言い渡した。西欧先進国に比べて政治活動の禁止範囲は広すぎると指摘しており、表現の自由は重要な権利という認識を国民が深めていることにも言及している。

 橋下市長は、教育行政への政治関与を強める条例や、同一の職務命令に3回違反すれば職員を分限免職にできる条例を相次いで制定し、教職員への統制を強めている。公務員の規律強化は必要だが、それが行き過ぎたものであれば職員の萎縮を招く。個人の自由を縛る規制は、必要最小限であるべきだ。


7/19付毎日
 野田内閣の政権運営、特に菅前内閣の「脱原発依存」路線の軌道修正が混乱を加速している。首相は党内に強い慎重論を抱えたまま、なし崩し的に大飯原発再稼働に踏み切った。今後のエネルギー政策も、党内論議をもっと尽くす必要がある。

 原発政策が国民の不信を強めている点に首相はあまりに無自覚ではないか。これとは別に米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの配備問題への硬直した対応にも、与党内から批判が出ている。消費増税で3党合意を実現したからといって、よもや慢心してしまったわけではあるまい。

 多くの「離党予備軍」をなお抱え、輿石東幹事長は「政権が崩壊する認識を持っているのか」と危機感をあらわにしている。一体改革法案は参院審議が本格化したが、鳩山由紀夫元首相ら増税慎重派の動き次第では成立前に与野党の対立が再燃する事態すら起きかねない。

 政権与党の使命をよそに若手が次々離党する様は確かに無責任だ。だが、いくら締め付けても党に魅力がなくては自壊は止まらない。民主党の政策は自民党とどこが違うのか、首相はとりわけ「脱原発依存」路線の再構築を急ぐべきだ。


7/20付毎日
 関電の姿勢にも疑問がある。前回の会合への資料提出を求められていたのに間に合わなかった。管理がずさんで、対応に誠意がない。大飯原発再稼働への影響を考えたと疑われても仕方ない。

 そもそも、疑問の声がある以上、現地調査は再稼働前に行うべきだった。今回、規制当局が再調査を指示した以上、再稼働の判断自体も一から見直すのが筋ではないか。夏の電力消費や節電の状況に応じ、改めて活断層などのリスクとのバランスを考えるべきだ。




7/16付読売
 首相は、「行使容認」が持論だが、昨年9月の就任後は「現段階で解釈変更は考えていない」と繰り返していた。首相が持論の“封印”を解いた意義は大きい。

 日本海で自衛隊艦船の近くにいる米軍艦船が攻撃された場合、自衛隊が黙って見過ごすようでは、日米同盟は崩壊してしまう。

 集団的自衛権の行使を可能にして、それに基づく日米共同演習を重ねれば、防衛協力が進展し、同盟の実効性は着実に高まる。

 北東アジアの安全保障環境が一段と厳しくなる中、この問題をいつまでも先送りすることは、日本の国益を大きく損ねよう。

【対米従属できれば死んでもいいのかね。】


7/14付毎日
 尖閣諸島は、対中強硬派の石原慎太郎東京都知事が主導するより、国が管理した方が不測の事態を避けられる。中国にも利点があるのに、漁業監視船の度重なる挑発行為で対抗するのは、理解に苦しむ。こうした中国側の振る舞いは日本の世論のさらなる反発を招き、日中関係の大局を損なうと認識すべきだ。

 一方、韓国が軍事情報包括保護協定署名を延期した背景には、中国への配慮から日米と接近しすぎることへの警戒もあったようだ。だが、昨今の日本の一連の動きが軍事大国化につながるかのような見方は、日本の立場とあまりにかけ離れている。

【そんなこと遠吠えで言っても、伝わらないと何の意味もないのですよ。外交って何か分かってますか?】


7/20付読売
 ただし、東電への批判を背景に政府が必要以上にリストラを強いれば、社員の士気低下や人材流出を招く。その結果、電力供給体制が揺らぎ、消費者利益が損なわれるような事態は避けるべきだ。

 新潟県にある柏崎刈羽原発を再稼働すれば、1基ごとに東電の収支は約800億円改善する。安全を確認できた原発から順次、再稼働することが求められる。

 料金査定を巡っては、消費者庁が福島原発の安定化費用や賠償経費などを、料金の原価から除外するよう求めた。

 だが、それでは東電の財務が悪化して、被害救済や電力供給に甚大な悪影響が及ぶ恐れがあった。関係閣僚の協議で、原価への算入を認めたのは適切な判断だ。

【あれだけの事故起こした企業が、何故こんなに擁護されるのか。一般企業だったら糞味噌に言う癖に。】


7/20付読売
 電力の安定供給には、原発が欠かせない。しかし、再稼働に入った大飯原発のほかは、福島第一原発の事故を受け、定期検査で長期間、止まったままだ。

 安全に万全を期すことが、再稼働のかぎとなる。活断層についても調査結果を速やかに公表し、分かりやすく説明することが、地域の理解を得るうえで大切だ。

【「電力の安定供給には、原発が欠かせない。」大嘘である。】


7/20付日経
 原発2基がフル稼働すれば、夜間に水をくみ上げる揚水発電を含めて関電の供給力は約440万キロワット増える。ただ政府の有識者会議の試算では、一昨年並みの猛暑になると、ピーク時の電力はなお1%弱足りない。中部や四国などでも関西に電気を融通する必要があり、余裕はほとんどない。

|

« 早立ち | トップページ | 群Q例会 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/193880/55316193

この記事へのトラックバック一覧です: 社説を読む 第24回:

« 早立ち | トップページ | 群Q例会 »