« 移動 | トップページ | 第5回早押王・新人王 »

2012年8月25日 (土)

社説を読む 第26回


7/30付朝日
 まず、「安全だ」という説明が信じられない。

 当然だろう。事故原因も判然とせず、大飯では活断層の存在も疑われている。首相が「事故を防止できる体制は整っている」と力んでも、真に受ける人がどれほどいるのか。

 「電気が足りなくなる」という説明にも疑問の目を向ける。

 足りない、足りないと言いながら、昨冬もこの夏も余裕があるではないか。再稼働の本当の理由は、電力会社の経営を守るためではないのか。

(中略)

 ただ、問題は野田政権のふるまいだけにとどまらない。抗議の根っこにあるのは、間接民主主義のあり方に対する強い不信感である。

 兵庫県姫路市の女性(77)は「民主主義は民の声を聴く政治のはず。声が届かないのはファッショだ」と語った。

 こんな声は抗議の場のあちこちで聴かれる。

 有権者が、選挙で選んだ自分たちの代表(議員)を通じて政策を実現する。その間接民主主義の回路が機能せず、自分たちの声が政治に届かない。


8/1付朝日
 ところが、ここにきて、8月中に予定されていた決定を先送りする案が、政権内で取りざたされている。

 確かに、議論の期間が短く、意見聴取会などの運営面でも不備が目立ち、「十分に意見を言う場がない」との不満はある。原発の維持を求める経済界には選択肢そのものへの疑問や反発がある。

 しかし、原発事故から間もなく1年5カ月。原発の減らし方やスピードについて、具体的な方針を示すべきときだ。そのうえで検討不足と判断した点があれば、論点や条件を明確にしたうえで議論を継続すればいい。

 方向性が定まらなければ、人もモノもカネも動けず、代替エネルギーの開発や省エネ投資も進まない。

 9月に控える民主党代表選や政局を気にしての先送りは論外だ。野田首相が向かいあうべきなのは、永田町ではなく国民である。


8/2付朝日
 それでも対話の糸口は見えた。議員と市民の双方から、大切な指摘が聞かれた。

 まず、民主党の辻元清美氏。

 「日本を生まれ変わらせるエネルギーが官邸前にある。一緒に変えていく方向に、政治が動き出せるかどうかだ。いままで『要求する側』と『される側』だったが、一緒に悩み苦しまないと、問題を解決できない」

 原発がなくても困らない社会をどうつくるか。ともに悩む関係を築けるか否かが先行きをわける。不信と分断に陥るのを避け、信頼と対話につなげられるかの瀬戸際だ。

 「エネルギーシフトパレード」呼びかけ人の鈴木幸一さんは取材にこう語った。「首相の指導力で突破せよという声もあるが、民主主義の基本はスーパーマンに頼らないこと。物事を変えるのは『民意』だ」

 民意が熟し、実るかぎは「場づくり」だ。一例として、抗議行動の際、官邸前を車道まで開放すれば、市民と議員が対話しやすくなると提案する。

 2人の思いに共感する。

 敵だ味方だと壁をつくらず、対話しよう。

 自民党などの原発推進派も臆せずに、抗議の市民と同じテーブルに着いてはどうか。


8/2付朝日
 紛争や抗争による犠牲者は、世界で年間74万人にのぼるとされる。そこで武器の国際取引の規制を通じ、犠牲者を減らしていく「武器貿易条約」の交渉が、国連で行われた。

(中略)

 国際人道法・人権法などに違反する取引や、虐殺や人道に対する罪などを助長する目的での移転を禁じる。各国に管理体制の強化や、取引についての報告書の提出も求めている。

 一方で、参加国を増やすため、慎重派の意見も反映された。推進国側は「人を殺すのは弾薬」として、弾薬の規制を重視したが、米国の反対で規制品目に入れなかった。

 他にもさまざまな「抜け道」がある。具体的な武器の規制リストづくりは各国に委ねられ、「防衛協力」による武器移転も規制対象外となった。

 それでも米国が「まだ時間が必要」と言いだし、ロシアなども同調した結果、採択は先送りされた。

 ここは交渉再開までの時間を逆手にとって、より強い内容を目指す好機と考えたい。

 米国では、大きな政治力を持つ「全米ライフル協会」が反対運動を展開した。上院議員51人が連名で条約に懸念を示した。

 だが、条約は違法な国際取引に関する規制で、国内での合法取引は対象ではない。米政府は国民にしっかりと説明し、理解を得るよう努めるべきだ。

 秋の国連総会では、議長が交渉内容を報告する。強い内容の条約案を総会で採択しようとの動きが出る可能性もある。実効性の高い条約づくりへの議論を深める場としたい。

 米中ロは、国連安全保障理事会の常任理事国である。紛争を防ぎ、犠牲者を減らす試みでは、特別の責任があることを自覚する必要がある。

 武器輸出3原則を持ち、輸出管理も厳格な日本は、説得力を持って条約を推進できる立場にある。英国などと協力して旗振り役をになってきたが、さらに力を発揮してほしい。


8/3付朝日
 福島第一原発事故が起きた直後の東京電力社内のテレビ会議映像が、6日から報道機関やフリーの記者に部分公開される。

 事故への対応を検証し、教訓をくみとる重要なデータで、まさに公共財というべき映像である。社内資料だと言ってオープンにしてこなかったことが、そもそもおかしい。

 ゆくゆくは東電のホームページに載せて誰でもアクセスできる環境におき、原子力、防災、危機管理など様々な分野の研究者はもちろん、関心をもつすべての人が見られるようにすることを考えるべきだ。

 視聴できるのは昨年3月11日夜から15日までの150時間分だ。幹部以外の社員の氏名が特定されぬよう、名札が映っている場面や音声を加工する▽それ以外は手を加えないが、閲覧までとし、録音は認めない▽範囲を特定してコピーの要望があれば、社内で対応を検討する――などの条件がつく。

 まず3月15日で区切るのが理解できない。それ以降も、放水活動の難航や4号機の使用済み燃料プールの温度上昇への対応など、検証すべき状況が続く。速やかな開示を求める。

 取材記者を1人に限るなど東電が当初考えた措置は、政府の指示で、一部は取り消した。だが同社が決めたやり方に反した場合の制裁をちらつかせ、報道規制の色に変わりはない。

 原則公開の前提に立ち、差し障りのある箇所があれば、理由を説明して国民の理解を得る。そうした姿勢でのぞむべきなのに、大きな考え違いをしていると言わざるを得ない。


8/4付朝日
 ロンドン五輪の開会式では、英国の歴史・文化を彩る出来事や人物が次々と登場した。ひときわ異彩を放った場面がある。

 青い光のなか、320の病院ベッドが並び、患者役の子どもと看護師600人が踊る。浮かび上がったのは「NHS」という文字だった。

 「国民保健サービス」の略称だ。英国に住む人なら原則、だれでも無料で医療を受けられる制度のことである。1948年に創設され、「ゆりかごから墓場まで」の言葉を生んだ。

 式の総合演出は、映画「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー賞を受賞したダニー・ボイル監督。「誰でも平等に医療が受けられることは、英国社会の核となる価値」と語る。

 税金で賄われるNHSは、長らく予算不足の危機にさらされてきた。病院のベッドや人員が不足し、手術を受けるのに何カ月も待つ事態が発生した。

 変化が起きたのは90年代後半だ。労働党のブレア政権が医療の具体的な目標を設定し、予算を毎年7%以上増やした。

 その流れは、増税と歳出削減に取り組む保守党のキャメロン政権下でも変わらず、NHSは予算が増える数少ない分野となっている。

 日本の医療も「国民皆保険」が達成されて50年が過ぎた。

 もし東京で五輪があったとして、医療保険を祝う開会式など考えつくだろうか。

 社会保障と税の一体改革をめぐる関連法案が現在、参議院で審議されている。しかし、与野党から「増税先行」との批判が絶えない。

 5%幅の消費増税のうち、社会保障の充実にあてられるのは1%分だけで、4%分は財政赤字の縮小に使われる。そのことへの不満がつよい。

 だが、年間35兆円の医療給付費は社会保険料だけでは賄えず、国庫から約10兆円が入っている。このうち4割は借金である。自分たちが受けている医療の対価を払い切れず、将来世代にツケ回ししている計算だ。

 私たちは「保険証1枚で、どこの病院でも診てもらえる」という今の制度に慣れてしまい、空気のようにその存在の大切さを忘れてはいないだろうか。

 医療サービスの維持には、大変なお金がかかる。英国の制度は日本と違いはあるが、今の世代が負担を受け入れていることは覚えておくべきだ。

 私たちだけでなく、未来を生きる世代のためにも、財源不足で「空気」を薄くするようなことはしまい。その決意がいま、問われている。


8/5付朝日
 もちろん、安全の確保は極めて重要だ。だが、多くの国民、とりわけ沖縄県民が配備に反発するのは、事故が続いたオスプレイの安全性への不安だけが原因ではない。

 普天間の返還が一向に進まないこと、それに対する日本政府への不信が根っこにある。これが解消されない限り、いくら「安全だ」と太鼓判を押されても、納得できるわけがない。

 沖縄では、知事も県議会も名護市長も普天間の県外・国外移設を求めている。名護市辺野古への移設がもはや無理なことは明らかだ。

 それをわかっていながら、政府は辺野古案を降ろそうとはしない。その結果、沖縄が最もおそれる「普天間の固定化」を招いているとの批判は強い。

 政府がオスプレイ配備を受け入れるしかないというなら、何よりも破綻(はたん)した沖縄との信頼関係を立て直さねばならない。

 そのためには、まず、辺野古移設が困難であると率直に認めることである。

 中国の急速な台頭を受け、米軍は「アジア回帰」の姿勢を強める一方、軍事費の大幅削減にも直面している。

 防衛白書が指摘しているように、沖縄が「戦略的要衝」にあるのは間違いない。ただ、太平洋地域の米軍全体の抑止力の中で、海兵隊の沖縄駐留をどう位置づけるかについては、再検討の余地はあるはずだ。

 現行機に比べ速度や航続距離が格段に向上するオスプレイが海兵隊に配備されるなら、沖縄駐留にこだわる必要はないと指摘する専門家もいる。


8/7付朝日
 将来のエネルギー政策を考える「討論型世論調査」が2日間の日程を終えた。

 この方式での調査は、政府として初の試みだ。政策の決定過程に国民がかかわる新しい場づくりに取り組んだ姿勢は、大いに評価したい。

 資料を参考にしたり、専門家や、自分と異なる意見の人から情報を得たりしながら、参加者が議論する。質問に1回限りで答える通常の世論調査や、選ばれた人が自分の考えを述べて終わり、という意見聴取会にはない利点もあった。

 「こういう場に参加すると『わからない』『政府にお任せ』とは言えなくなる」「政治家や官僚や電力会社はあくまでプレーヤーで、監督はぼくらだと実感できる」。40代男性の感想が印象的だ。


8/10付朝日
 ところが、法案を成立させる民主、自民、公明の3党からは、増税による財源をあてこんで公共事業の拡充を求める声が高まっている。

 とんでもない話である。


8/18付朝日
 大阪市教職員組合(大阪市教組)が年に1度の教育研究集会を開くため市立小学校を借りようと申請したら、市教育委員会が不許可とした。労使関係に関する条例で、組合への便宜供与を禁じているという理由だ。

 市教組は約40年前から学校で教研集会を開いてきた。

 公立校の先生ら約300人が集まり、授業の実践例や研究内容をやりとりする。昨年は性同一性障害の生徒と向き合った先生の報告や、障害児教育などが紹介された。

 組合の集会といっても目的は先生の自主研修である。組合員以外の先生も参加でき、現に非組合員の人も参加している。

 条例は「適正かつ健全な労使関係の確保」が目的だ。他の先生の取り組みを知り、日々の教育に生かす。こうした集会は、市が一線を画そうとする組合活動とは違うと解釈すべきだ。


8/19付朝日
 年金生活を送る皆さん。

 お盆で、久しぶりに子どもや孫の顔をみて喜んだ方も多いのではないでしょうか。

 でも、子育て真っ最中の息子や娘から「いまの年金は高すぎる。私たちは損ばかり」とか、「病院に行ったら、窓口負担をもっと払って欲しい」と言われたら……。

 「私たちも苦労したし、保険料はちゃんと払った。年金や医療を受ける権利がある」とやり返したくもなる。険悪な雰囲気になるのは間違いありません。

 いま、日本社会はそんな難しい局面にあります。

 高齢者に厚く、現役世代に薄い日本の社会保障は、少子高齢化が進むなかで見直さざるをえません。世代間でどうバランスをとればいいのでしょう。

 国会で消費税の増税が決まった後、「社会保障の効率化や切り込みが不十分だ」という意見が目立っています。

 年金を引き下げたり、支給開始年齢を遅らせたりする。医療費では、1割に据え置いている70~74歳の窓口負担を法律通り2割にする。いずれも政府内で検討されたのに、法案には盛り込まれませんでした。

 政治家が、有権者としてパワーを持つ皆さんの反発を恐れているからです。物価が下がった時に据え置いた年金を本来の額に戻す法案すら、実質的な審議に入れないままです。

 年金額の引き下げや窓口負担増に敏感になるのは、よくわかります。もう自ら働いて稼ぐのは難しい。病院に通う回数も多くなりますから。

 しかし、子や孫の生活も考えてみましょう。リストラや給与削減、住宅ローンや教育費で苦しんでいないか。その割に税金や保険料の負担が重くないか。国の借金をこれ以上増やすと、孫の世代に大増税が必要になるのではないか――。

 「しょっちゅう、小遣いを渡している」だけでは、社会全体には広がりません。

 むろん、生活が苦しいお年寄りがいます。高齢者世帯の1割は貯蓄がゼロで、生活保護を受ける4割は高齢者世帯です。

 一方で、1割は3千万円以上の蓄えがあり、土地などの資産を持つ人も多いのです。

 裏返せば、年齢だけで一律に医療の窓口負担を軽くしたり、保険料を低くしたりすることは理屈に合いません。

 まずは自分たちの負担分を少しでも増やす。そのうえで、年齢にかかわらず所得と資産に応じて負担し、必要な給付は受けられるような制度にする。そう進むべきだと思いませんか。


8/20付朝日
 財政難のなか、学校や病院、福祉センターなど、私たちの生活に密着した公共施設の維持・更新をどうするか。

 わが国の施設の多くは高度成長期に建てられ、更新時期を迎えているだけに、差し迫った課題である。

 ところが、国や多くの自治体は対策を先送りしているのが実情だ。市民と問題意識を共有しつつ、早く具体策を講じなければならない。

 そのために効果を発揮しそうなのが、様々な公共施設、いわゆる「ハコモノ」について、建て替え時期や費用の見通しなどを網羅した「白書」作りだ。

 神奈川県西部の盆地に広がる秦野(はだの)市は人口約17万人。「住民の高齢化と同様に、公共施設の老朽化は大変な問題」という危機感から、3年前に白書をまとめた。

 会計が独立している上下水道や、市単独では対策が立てにくい道路などを除く450余の施設を対象に、更新時期と必要な投資額、人件費を含む経費や利用率を調べた。

 財政見通しと合わせた分析結果は「すべてのハコモノを維持すると、市の借金である市債の残高が2倍に膨れる」だった。

 将来の世代に巨額のツケを回すわけにはいかない。白書に続いてまとめた再配置計画では、原則として新たなハコモノは造らず、既存の施設も人口の減少にあわせて40年間で3割減らす方針を打ち出した。

 住民の「総論賛成、各論反対」を説得し、施設を仕分けしていくには、幅広い分野を対象にし、施設ごとの経費や利用率までデータの公開を徹底することがカギとなる。白書作りが出発点とされるゆえんである。

 同様の白書を作る自治体は徐々に増えており、市区では50前後になるようだ。秦野市への視察や講師派遣の要請も多い。ノウハウを共有し、取り組みを各地に広げてほしい。


8/20付朝日
 「私たちは、認知症を何も分からなくなる病気と考え、徘徊(はいかい)や大声を出すなどの症状だけに目を向け、認知症の人を疎んじたり、拘束するなど、不当な扱いをしてきた」

 残念だが、こうした社会の偏見はまだまだ根強い。

 だが、認知症は何もわからなくなる病気ではない。初期から適切に対処すれば、自宅や施設で本人らしい暮らしを続けることもできる。

 入院に至るのは、200万人ともいわれる認知症の人のごく一部ではある。しかし、深刻な実態が少なくない。

 厚労省の調査によると、認知症の人の精神科病院での平均在院日数は、900日以上にも及んでいる。

 家族や施設などの引き取り手がいないという理由のほか、多くの病床を抱える精神科病院が認知症の人を積極的に受け入れている事情もあるようだ。

 いま必要なのは、早期に診断し、早い段階から生活の支援や往診を受けながら、住み慣れた自宅や施設で安心して暮らせる環境づくりを急ぐことだ。

 今後、厚労省は、看護師や保健師らが自宅を訪れて相談にのる「初期集中支援チーム」を全国約4200カ所に置く。専門医が自宅や施設へ往診する「身近型医療センター」も300カ所設けるという。


8/21付朝日
 ただ、反日に過剰に反応するべきではない。

 デモは、貧富の格差や汚職の広がりなど、中国社会の矛盾への不満に突き動かされている面もある。中国政府は批判の矛先が自らに向かうことを何よりも警戒しており、これ以上の拡大は望んでいまい。

 中国のネット上では、「中国人の車を壊してどうする」などと、冷ややかな声も多い。

 一方、韓国に対しては、李大統領の天皇への謝罪要求発言もあり、日本政府は態度を硬化させている。国際司法裁判所に提訴する方針を発表したほか、安住淳財務相は日韓通貨スワップ(交換)の融通枠拡充取りやめを示唆している。

 日本の立場を表明することは大事だが、あたかも制裁のように関係のない問題を持ち出すのはいかがなものか。韓国経済の不安定化は、日本にとってもマイナスになりかねない。

 安住氏は、今月下旬の日韓財務対話への出席も取りやめた。だが、こういうときこそ、韓国としっかり話し合うべきだ。

 日中も、日韓も、前に進めていかなければならない関係だ。何が本当の国益なのか、冷静に考える必要がある。


8/23付朝日
 両者の溝は埋まらなかった。それでも意義は小さくない。

 首相官邸前で「脱原発」を求める抗議行動の主催者らが、きのう官邸内に招かれ、野田首相に会って抗議した。

 経済団体や労働組合に属さぬ「組織されない市民」が首相に直接訴えるのは異例だ。これまでの政治の意思決定の仕方や、政治文化を変える可能性をはらんでいる。評価したい。


8/23付朝日
 李大統領は竹島上陸の理由に、慰安婦問題で進展が得られなかったことを挙げた。

 日本政府は1965年の日韓協定で解決済みとの立場だが、93年の官房長官談話で旧日本軍の関与を認め、謝罪した。民間主導のアジア女性基金を通じ、償い事業も行った。

 そうした努力自体は韓国の人たちにも理解してもらいたい。その上で、まだ出来ることがあるのか、両国で考えればいい。

 残念なのは、日本側で歴史認識への疑問を呼び覚ますような言動が繰り返されることだ。

 2007年には当時の安倍晋三首相が、当局が無理やり連行する「狭義の強制性」はなかったと主張。米下院が日本に謝罪を求める決議を採択するなど、国際社会で強い批判を浴びた。

 問題の本質は、尊厳を踏みにじる行為が本人の意に反して行われ、そこに国が関与していたことだ。こうした発言はかえって日本の立場を弱める。


8/24付朝日
 閣僚がベトナムを相次いで訪れ、原発建設への協力を念押ししている。政府は国内では脱原発依存を掲げる一方、輸出は促進する。そこに整合性はない。

 枝野幸男経済産業相はハノイで、原発事故が起きた際の損害賠償制度の整備に協力する覚書に署名した。「福島第一原発の事故の教訓をふまえ、世界最高水準の安全性を備えた原発建設で協力したい」という。

 だが、福島の事故は原因の究明も道半ばだ。必要になる賠償が、これからどこまで広がるかもわからない。自分のところがそんな状況で、他国に何を教えると約束できるのか。

 政府は2030年の原発割合を0%、15%、20~25%とする三つの選択肢を示している。

 枝野氏は、原発ゼロに前向きな発言をするかたわら、輸出の旗を振っている。その姿勢はわかりにくい。

 原発の建設・運営は、廃炉や廃棄物処理までを考えると、他の事業とは比べものにならないほど長期にわたる営みだ。

 いったん事故があれば、被害は甚大かつ長期に及ぶことが福島で改めて示された。

 民間が自力で造るわけではない。性格が新幹線や道路、港湾などとは大きく異なるのに、政府がインフラ輸出の一環として取り組むことが問題だ。

 輸出といえば商行為に聞こえるが、事前の調査から日本政府の丸抱えだ。約1兆円とされる事業費の大部分は、日本の公金で低利融資される。技術者育成も支援する。ベトナム側は廃棄物処理への協力も求めている。

 事故があったときの責任分担は決まっていない。だが、これだけ深くかかわれば、責任も相当に負うことになろう。

 成長戦略の名の下に、関係する日本企業の売り上げは増え、利益があがるかもしれない。

 しかし国民全体が背負うリスクは途方もない。国益に資するとはとても思えない。

 一党独裁のベトナムでは、言論や表現の自由が制限されている。他の事業以上に求められる原発建設の透明性はまったく担保されていない。

 導入可能性調査は日本原子力発電が随意契約で受注したが、調査結果は契約上、非公開という。費用20億円は全額日本政府の負担だが、日本国民はその内容を知ることもできない。

 メディアや研究者がニントアン省の予定地を訪れることさえベトナム政府はほとんど認めない。原発反対の署名を呼びかけたブログは一時閉鎖された。

 両国民に必要な情報も開示されない事業は打ち切るべきだ。


7/29付読売
 厚生労働省が2011年度に全国の児相で対応した虐待の通報や相談件数をまとめた。前年度を約3500件上回る、5万9862件に達し、過去最多を21年連続で更新した。

 要因には、虐待防止に向けて、社会の通報意識が高まっていることもあるだろう。

 今月25日、兵庫県で1歳の長女を虐待していた両親が逮捕され、子供は保護された。きっかけは、親子が訪れた店に居合わせた客が女児の顔のあざを不審に思い、警察に知らせたことだった。

 こうした行動を、いらぬおせっかいと考えて躊躇(ちゅうちょ)してはならない。児童虐待防止法は関係機関への通告を義務づけている。

 問題は、社会の関心の高まりをきちんと生かせるかどうかだ。

 併せて公表された10年度の虐待事例の分析によると、51人の子が虐待を受けて死亡し、うち7例は児相が情報をつかんでいた。

 最近も、今月9日に埼玉県で5歳男児が母親と内縁の夫に暴行され、死亡している。

 児相は虐待を把握しており、一時保護もしたが、虐待の心配が少なくなったとみて、親元に帰していた。結果的には児相の判断ミスと言えよう。教訓を今後の対応に生かさねばならない。

 児相が抱える構造的な問題が人員不足である。通報や相談件数はこの10年で2・6倍にもなっているのに、児童福祉司の増員は1・6倍にとどまっている。

 初期の通報や相談に対応できる人員をまず確保しなければ、深刻な事案にはなおのこと十分に対応できまい。都道府県や政令市は、職員の配置を見直し、態勢を拡充することが急務だ。

 虐待による死亡例の8割が3歳以下に集中している。「望まない妊娠」で子を産んだ若い親が虐待するケースが目立つ。産婦人科など医療機関も連携を深め、虐待の予防に取り組んでもらいたい。

 「親権」を盾に児相などの介入を拒む親もいる。

 これに対し、児童相談所長などの申し立てがあれば、家庭裁判所が期限付きで親権を停止できる法的制度が今年4月からスタートした。ある程度の時間をおいて、虐待する親の更生を図るものだ。

 4~6月の3か月だけで、児童相談所長から7件の申し立てが出ている。親子関係の再建につなげる方策として活用したい。


8/8付読売
 問題なのは、自民党が、野田首相から衆院解散の確約が得られない限り、内閣不信任案や問責決議案を独自に提出する、という強硬姿勢を再確認したことだ。自民党が提出に踏み切れば、3党合意は崩壊の危機に直面する。

 衆院で不信任案は否決される見通しだが、参院では問責決議案が可決される公算が大きい。法的拘束力はないが、野党が参院審議を拒否すれば、一体改革法案の成立が極めて困難になる。

 実現目前の一体改革を白紙に戻すのは、愚の骨頂である。さらに、9月に発足する予定の原子力規制委員会の人事も宙に浮くなど、多大な悪影響が出るだろう。

 衆参ねじれ国会で政治が停滞する中、一体改革の3党合意は「決められる政治」に立ち返る一歩となるはずだった。合意が崩れ、法案が成立しなければ、既成政党への国民の評価は失墜しよう。

 一体改革を犠牲にすることも辞さずに、早期解散を求める自民党の姿勢は、身勝手すぎる。

 谷垣総裁が今国会での解散に固執していることにも、それが実現できなければ、9月の総裁選で自らの再選が困難になるためではないか、との見方が出ている。

 自民党が参院特別委員会での8日採決の日程に同意しながら、問責決議案の提出の用意をしているのは、筋が通らない。

 3党合意は、一体改革法案について「今国会で成立を図る」と明記している。民主党の国会運営に問題があったにせよ、自民党が一方的に反故(ほご)にするなら、政党間の合意や信頼は成り立たない。

【忘れてはいけないのは、民主党云々など一切関係なく、自民党が「こういう」政党であることである。】


8/13付読売
 農林水産省が公表した2011年度の食料自給率は39%となり、2年連続で40%を割り込んだ。

 食料自給率は、消費する食料のうち、国産で賄っている割合だ。農水省は、食物のカロリーを基に算出した自給率を重視しているが、この数値には問題が多い。

 例えば、国内で育てられた牛や豚の肉でも、餌が輸入品なら国産とはみなされない。飼料を大量輸入している日本では、畜産物の自給率はおのずと低くなる。

 野菜や果実は国産比率が高いが、カロリーが低いため、自給率の上昇にはあまり貢献しない。

 カロリー基準の自給率が長期低落しているのは、コメ主体から食肉などへ日本人の食生活が変化したことが大きな要因と言える。

 生産額を基準に算出すると、11年度の自給率は66%になる。

 農水省や農業団体は、カロリー基準の自給率低下を、ことさらに取り上げ、危機感を強調する。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に反対する根拠にも掲げている。

 だが、自給率の高低が農業の実力を示しているとは言い難い。


8/22付読売
 政権公約とは何なのか、改めて考え直すことも必要ではないか。野党であれば、政権を担当するまで分からないこともあろう。経済、世界情勢の激変や大災害など予見できない事態も起こりうる。

 公約が現実にそぐわない、あるいは実現困難と判明した段階で、臨機応変に修正、撤回するのが、政権党の仕事である。

 たとえマニフェストに反していても、必要な政策、国益に資する政策を実現することは、むしろ望ましい。その際、有権者に対して、政策変更の理由をきちんと説明しなければならない。

 政治家にとって、公約順守が大事であることは言うまでもないことだ。だが、用をなさない公約を金科玉条のごとく守ると言い張るのは不誠実だ。「マニフェスト至上主義」に陥ってはならない。


7/29付日経
 消費増税関連法案は今国会で成立する公算が大きい。税率を引き上げる2014年4月と15年10月には、企業が商品やサービスの価格に税負担を転嫁できるかどうかも重要な問題となる。

 増税後の値決めは企業の経営判断である。だが大企業が優越的な地位を乱用し、下請け企業に負担を強いることは許されない。円滑で適正な価格転嫁の環境を整えるため、政府や中小企業団体は万全の対策を講じるべきだ。


8/11付日経
 日本の政治は財政再建と経済成長の両立に必要な改革を継続できるのか。自民党は「協力は消費増税までだ」と明言し、社会保障と税の共通番号法案を除く懸案には対決姿勢で臨む方針である。

 議院内閣制は衆院で多数を得た政党に政権を託す仕組みだ。衆参のねじれに乗じ、野党が民意を超えて動くのは好ましくない。

 赤字国債発行法案など積み残しの懸案は多い。いずれ選挙で戦うにしても、3党は国としてやらなければならない政策にはともに取り組んでほしい。今回の「決める政治」を守り続けるべきだ。


8/20付日経
 では、どうすべきか。巨大電力会社に頼るもろさを私たちは痛感した。最優先の課題は電力市場に多様な企業の参入を促し、競争を通じて供給力を高めることだ。

 その点で経済産業省の専門委員会が7月に決めた電力改革の基本方針は、寡占型だった電力市場を競争市場に変える重要な一歩だ。風力や太陽光でつくった電気を電力会社が全量買い取る制度も始まり、自然エネルギーへの投資の拡大も期待される。

 だが、残された課題も多い。現在は経産省の担当分野以外にも、電力事業への参入を阻むさまざまな規制がある。多方面からの改革が欠かせない。

 一つは発電所をつくる際に必要な環境影響評価(アセスメント)の手続きを迅速にすることだ。いま日本で大型の石炭火力発電所を建てようとすると、順調に進んだとしても約10年かかる。まず環境アセスに4年かかり、着工してから運転開始まで6年を要する。

 準備段階を含めて長期にわたる建設期間が、電力会社の有力な競争相手と目されるガス会社や鉄鋼メーカーに投資をためらわせる大きな要因だ。

 電力供給の拡大を促すため、例えば老朽設備を更新する際の環境アセスは簡素化してはどうか。一般に新鋭設備は古い設備に比べ、二酸化炭素(CO2)の排出抑制などの環境対策を大幅に強化している。設備を更新しやすくなれば環境負荷の軽減にもつながる。

 原子力発電の比率が下がった場合、それを補うのは当面、ガスや石炭などの火力発電しか見当たらない。新規投資の促進と環境保全の両立に知恵を絞りたい。

 自然エネルギーも普及には制約が多い。例えば風力発電の風車は建築基準法で高層ビル並みの耐震基準を求められている。大勢の人が働く高層ビルと、山や荒れ地に立地する無人の風車が同じ基準というのは合理的だろうか。

 洋上風力発電では漁業権を持つ地元漁協との協議が必要になる。農業用水を引き込んで使う小水力発電も水利権の調整が難しい。利害対立を防ぐため、漁業・農業団体に発電事業に出資してもらい利益を還元するなど、地元と共存共栄する仕組みを考えるべきだ。

 地熱発電は国立・国定公園内に適した場所が多く、環境省は自然環境や景観への配慮を条件に新規立地を認めた。だが、発電設備の設計基準づくりや地元合意を得るための指針の整備が遅れている。作業を急いでほしい。


8/22付日経
 ただ、韓国との対立をやみくもにあおるのは得策ではない。政府内では対抗措置として、日韓通貨協定の交換枠縮小や液化天然ガス(LNG)の共同調達の検討作業の凍結なども浮上している。経済分野まで広げて対抗措置を講じるのはいかがなものか。

 日韓はともに主要な貿易相手国で、経済や安全保障分野で密接な協力が欠かせない。通貨交換枠の縮小にしても韓国の金融市場が混乱するようなことがあれば、日本にも悪影響が及ぶ。感情にまかせた過剰な反応は慎むべきだ。

 中国はかつて尖閣諸島をめぐり日中対立が激化した際、レアアースの対日輸出を制限した。日本が似たような対応をすれば、責任ある大国としての信用をなくす。


8/7付毎日
 衆院で合計51議席を超す増税反対派の会派が協力して不信任案を提出する展開はある程度、予想されたはずだ。にもかかわらず、この動きに影響され合意破棄をちらつかせる自民党内の議論は党利党略と言わざるを得ない。

 合意したはずの重要法案の審議のさなか、最初は採決を早期に行うよう求め、今度は「衆院解散を約束しないなら不信任」と言いだすようではあまりに無原則だ。秋の総裁選に向けた谷垣総裁の露骨な生き残り戦術とのそしりを免れまい。

 民主党政権の運営が低迷し、ねじれ国会の下で今国会での一体改革関連法案成立に3党が歩み寄った原点に立ち返る必要がある。国の歳入の半分以上を借金でまかない、費用が増大する社会保障の底割れを防ぐ緊急かつ不可欠の措置として危機感を共有しての合意だったはずだ。

 欧州金融危機にみられるように、財政再建への歩みが頓挫しかねないというシグナルを世界に送る危険をどこまで認識しているのか。自民党には今日の危機的な財政状況を招いた主な責任が自党にあるという自覚がなお、足りないのではないか。


8/8付毎日
 とりわけ、国民の目を意識してほしいのは自民党だ。

 民主党に度重なる譲歩を強い、合意に至りながら「衆院解散を確約しなければ合意破棄」とエスカレートした対応はあまりに唐突だった。7日の自民党独自の不信任案、問責決議案提出を見送ったのは世論の反応がさすがに気になったためではないか。公明党が強硬路線への同調に難色を示しているのも無理はない。

 そもそも3党合意が崩壊すれば首相が衆院解散ではなく、退陣に追い込まれる可能性も否定できまい。要求した衆院解散も実現せず、一体改革も頓挫した場合、谷垣総裁はどう責任を取るのか。理屈に合わないうえ、極めて危ういカケに出ていると言わざるを得ない。


8/14付毎日
 「女性スポーツ先進国」ならではの悩みもある。「女性アスリートの三徴」をご存じだろうか。体操や陸上長距離など体重制限がある競技で頻発する「摂食障害、無月経、骨粗しょう症」だ。食事制限によって体重・体脂肪が減少すると排卵と女性ホルモンの分泌が止まり無月経に。栄養不足は骨密度の低下を引き起こす。選手生命どころか生命そのものを脅かすような深刻な状態を招きかねない。メダルのため男子並みの練習に追い立てられる女子選手たちから目をそらすわけにはいかない。

 女性スポーツの歴史は浅い。産婦人科医によると、スポーツが女性の心身に及ぼす影響については未知の部分が多いという。女子の強化はどうあるべきかについても考えたい。


8/24付毎日
 それでも、多様な方法で国民の意見を聞いたことを評価したい。野田佳彦首相が脱原発を訴える市民団体と面会したのもよい決断だった。「原発をゼロに」という国民の切なる希望をしっかり受け止めてほしい。

 その上で、大事なのは、なぜ、人々がそれぞれの選択肢を選んだのか、それぞれの調査の特徴を踏まえた上で中身をよく分析し、国民の考えを丁寧にくみ取ることだ。

 たとえばDPは、通常の世論調査と違い、「熟議」を経た民意を探るのが目的だ。小グループの討議と専門家への質問を経て、意見の変化をみるもので、「原発比率ゼロ」を支持する意見が増えた。「原発比率15%」の支持は減少した。

 準備期間が短く、討論資料や専門家の準備が不十分だったという問題はある。参加者の年齢層や性別に偏りもあった。それでも、討議と質問を経て、「原発ゼロ」の比率が増えたことには大きな意味がある。

 「15%」は、既存の原発に40年廃炉をあてはめた数字だ。政府は有力視してきたが、将来の原発ゼロをめざす途中経過なのか、原発維持の途中経過なのか、はっきりしない。人々は、こうしたあいまいなメッセージに不信感を抱いたのではないか。

 DPの分析では、原発比率の選択に当たり、電力の安定供給やコストなどに比べ、安全の確保に重きを置く傾向があることもわかった。政府は、この点もしっかり受け止めなくてはならない。

 これらの調査結果をどのように政策決定に生かしていくか。政府が今もってはっきりさせていないことも問題だ。民意の、どこを、どう受け止めたのか。原発を減らすに当たり、困難な課題をどう乗り越えるのか。責任ある政治として道筋をはっきり示さなくてはならない。

 DPの結果は、原発ゼロを採用した場合に、高コストを受け入れ、生活スタイルも変えるという、国民の覚悟を示しているという。政治も覚悟を決める時だ。


8/8付朝日
 首相と谷垣氏に念を押しておこう。

 政治の仕事は問題を解決することである。問題をつくることではない。

【問題をつくっているのは、一方的に谷垣のほうなのだが…。】

7/29付読売
 ブッシュ前大統領が01年以降に実施した所得税減税などの大型減税措置は今年末に失効する。財政再建を目指す与野党合意により、来年から政府歳出の強制削減措置も発動される予定だ。

 ブッシュ減税失効による事実上の増税と、巨額の歳出カットは、「財政の崖」と呼ばれる。

 崖から転落するような超緊縮財政は景気にマイナスだ。ショックを和らげようと、オバマ大統領が中低所得層向けの減税延長を提案したのはもっともである。

 しかし、11月の大統領選に向けて対決色を強める野党共和党は富裕層を含めた減税延長を求め、歩み寄りはうかがえない。決着は選挙後に持ち越されそうだ。

 適切な財政政策をすぐに打ち出せない以上、当面は、金融政策の下支え効果に期待が高まろう。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は6月末、長期国債の保有比率を高めて長期金利の低下を促す金融緩和策を半年延長した。だが、市場の焦点だった量的緩和策の第3弾(QE3)は見送った。

 雇用情勢の悪化が止まらず、欧州危機拡大で市場が混乱する場合には、QE3を含め、追加策をためらうべきではあるまい。

 ただ、FRBの追加策は、ドルやユーロに対する歴史的な超円高を加速させ、日本の景気に深刻な影響を与える可能性がある。政府・日銀は警戒を強め、円高阻止の為替介入や、一段の金融緩和策を検討してもらいたい。

【日本には増税を進めておいて、アメリカには減税で金融緩和をドンドンやれとか、ご都合主義にも程がありませんか?】


8/1付読売
 中国軍の急速な近代化と活動の活発化に対し、自衛隊は警戒・監視活動を着実に強化することが肝要である。

 2012年版防衛白書は中国の軍事動向について、昨年に続き、アジア地域と国際社会の「懸念事項」と明記し、「慎重に分析していく必要がある」と指摘した。当然の認識である。

 中国の国防費は過去5年間で2倍以上、24年間で30倍に急増した。日本の1・6倍超に達し、今後、この差は拡大することが確実だ。50年頃には「米国の対等なライバルになる」との見方もある。

 空母の試験航行、ステルス性を持つ次世代戦闘機の開発に加え、海軍艦船による太平洋進出の常態化や偵察用無人機の飛行訓練なども軽視できない。

 白書は、安全保障問題に関する軍幹部の発言の増加などを踏まえ「共産党指導部との関係が複雑化している」と分析し、「危機管理上の課題」として、中国軍の影響力増大に警戒感を示した。

 中国の軍事力や意思決定プロセスについては、かねて透明性の欠如が指摘されている。引き続き注視することが欠かせない。

 海上・航空自衛隊は近年、南西諸島防衛を重視しているが、中国軍の動きが激しいため、哨戒機などのやり繰りが厳しいという。

 「アジア重視」を鮮明にした米軍との「動的防衛協力」を強化するとともに、海空自の部隊配置や装備を充実させることが急務だ。防衛費の10年連続の減少にも、歯止めをかけるべきである。


8/3付読売
 欧州諸国では、新聞や書籍に対する付加価値税を低く抑える軽減税率を採用している。

 活字文化と民主主義を守るため、日本でも今回の消費税率引き上げで、軽減税率を導入すべきである。

 日本の消費税に当たる欧州の付加価値税は、税率が20%前後と日本より高いが、新聞に適用される税率は、ドイツが7%、フランスが2・1%、イギリスが0%などに軽減されている。

 新聞が、国や地方の政策や多様な言論を伝えて判断材料を提供するなど、民主主義を担う「公器」として認識されているからだ。

【手前味噌過ぎ。よりによって読売新聞が言うか?軽減税率を導入するのであれば、読売産経以外の新聞にしましょう(もちろんスポーツ紙なぞ新聞のうちに入らない)。】


8/4付読売
 現行のエネルギー基本計画を見直すたたき台で、いずれも原発を減らし、太陽光など再生可能エネルギーや火力発電で補う内容だ。政府は意見聴取会など「国民的議論」を経て、今月中に結論を出すとしている。

 脱原発を図る「0%」から、中長期的に原発を活用する「20~25%」まで、選択の幅は広いように見える。だが、すべての選択肢が現実味に乏しいという、致命的な欠点を抱えている。

 再生エネの見積もりが明らかに過大である。水力を含め約10%に過ぎない再生エネについて、原発ゼロ案は35%に、原発を残す2案も25~30%に増やす想定だ。

 太陽光を20倍に拡大するため、1000万戸以上の住宅に太陽光パネルを設置するという。この計画を実現する道筋は不透明だ。

 再生エネの買い取り制度は7月にスタートしたが、ドイツのように電気料金が急騰する副作用も懸念される。再生エネの目標は現実的な水準に改めるべきだろう。

 国民生活への影響に関する説明も物足りない。政府は再生エネの拡大などに伴い、標準的な家庭の電気代が最大月1万円ほど増えるといった試算を示している。

 しかし、負担増はこれにとどまらないのではないか。生産など経済全体の電力コストが上がり、物価上昇や企業業績の悪化を招くと考えられるからだ。リストラの拡大も予想される。

 経団連が政府の審議会のデータをもとに試算したところ、原発ゼロのケースでは、現在約300万人の失業者が200万人増え、勤労者世帯の所得は年60万円近く減る。国民生活に大打撃となる。

 国民が減原発や省エネのマイナス面を正確に把握し、望ましい電源構成を決めることが重要だ。政府は判断材料となる情報を、わかりやすく提供すべきである。

 三つの選択肢が前提とする経済成長率が実質1%前後と、政府の日本再生戦略で目指す2%成長を下回っている点も不可解だ。

 古川国家戦略相は「選択肢の想定と成長戦略は直接関係しない」と釈明するが、説得力に欠ける。エネルギー戦略は、成長への重要な柱であることを踏まえ、三つの選択肢を再検討すべきである。

【何度でもいう。原発ありきはやめろ。原発をこれからも使用し続けることのほうがよっぽど現実味のない話である。】


8/4付読売
 形式的な議論に終始しがちな閣議より、むしろ閣僚同士が自由に意見交換する閣僚懇談会や、安全保障会議といった閣僚会議こそ議事録を残すべきだ。

 今回の取り組みは、東日本大震災関連の会議録が作成されていなかった問題で、政府の「記録軽視」の姿勢が厳しく批判されたことがきっかけとなっている。

 民主党が、政治主導の名の下に官僚を政策決定の場から排除したことも一因だろう。

 党の政策決定過程でも、消費税率引き上げなど、いったん決めたはずのことが何度も蒸し返され、混乱を招いてきた。

 こうした体質の根底には、記録を重視しないという“文化”があるのではないか。

【閣議の議事録の話からなぜこんなところに飛躍するのか。どうもゴミ売は、民主党を馬鹿にしたい為に新聞を発行しているようだ。そんな悪口に金を払う筋合いは無い。】


8/4付読売
 米軍の新型輸送機MV22オスプレイの日本配備について、両閣僚は、安全性が確認されるまで国内を飛行させない方針で合意した。低空飛行訓練などで周辺住民に配慮することでも一致した。

 閣僚間でオスプレイの安全性と日本配備を両立させることを再確認した意義は小さくない。

【終わりかけのアメリカに媚を売る愚。「低空飛行訓練などで周辺住民に配慮する」といって、これまで配慮されたことがあったか?】


8/6付読売
 疑問なのは、東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、一部で核軍縮や平和への希求に絡めて脱原発が主張されていることだ。

 原発も大事故に至れば放射性物質の拡散を招くが、大量殺りく兵器と原子力の平和利用とを同列に論じるのはおかしい。

 原発事故は、安全対策をしっかり講じれば防ぎ得る。事故の教訓を生かし、世界の原発の安全性向上に貢献することが、むしろ日本の責務ではないのか。

 原発については、中長期的なエネルギー政策の視点から、冷静に議論を重ねていく必要がある。

【防ぎ得なかったからあんなことが起きたんだろ?何万年と安全確保しなければならないのに、わずか50年もたたないうちにあんなことが起きている。冷静に議論すれば、原発など要らないという結論になるはずだが。】


8/7付読売
 そもそも、こうした状況を招いた一因は、首相と民主党執行部の不誠実さにある。

 首相は、連合の古賀伸明会長との会談で来年度予算編成に意欲を示し、法案成立後の解散を求める自民党の神経を逆なでした。

 民主党執行部は、離党者がさらに出ることを恐れ、法案の早期採決には及び腰だった。当初、赤字国債発行を可能とする特例公債法案の成立や衆院選挙制度の「1票の格差」是正との同時決着を主張し、20日の採決を唱えていた。

 これらが大事なのは言うまでもないが、一体改革関連法案の参院採決を先送りする口実ではないか、と疑われても仕方がない。

【自民党が馬鹿なことを言った原因を民主党に押し付けるなど笑止千万。読売の人間は、自民党=善、民主党=悪という認識らしい。】


8/9付読売
 山口氏は、「法案が成立するまでは内閣不信任決議案などを出すべきではない」と一貫して主張し、自民党に自制を促した。

 「内外への影響を配慮し、政治が機能することを示した」と語ったが、長年政権を担った政党としての矜持(きょうじ)を示したと言えよう。

(中略)

 民主党執行部は、こうした事態を引き起こしたことを猛省すべきである。首相が今国会での法案成立に政治生命をかけると明言しているのに、輿石幹事長らは水を差してきた。

【この程度のことで、矜持を示すとか…。どんだけ大甘なんだ?】


8/14付読売
 ほとんどの原子力発電所が運転を再開できず、電力不足は依然として深刻だ。国内の生産や投資が抑制され、産業空洞化が一層加速しよう。安全を確認できた原発を順次、再稼働すべきである。


8/15付読売
 慰安婦問題がここまで広がっている根底には、1993年の河野官房長官談話の存在がある。

 ◆誤解広める河野談話◆

 日本の官憲が組織的、強制的に女性を慰安婦にしたかのような記述があり、誤解を広めることになった。しかし、結局、こうした事実を裏付ける資料的な根拠は見つからなかった。

 「日本軍によって拉致され、慰安婦にされた」と米国で喧伝(けんでん)されているが、この談話の存在のため、日本政府が有効な反論ができないことは極めて問題である。


8/16付読売
 李大統領は15日には、日本の植民地支配からの解放を記念する式典で演説し、いわゆる従軍慰安婦問題で「責任ある措置」をとるよう、改めて日本に求めた。

 韓国の世論を背景に、大統領が被害者への謝罪や補償などを野田首相に促してきた経緯があるが、請求権問題についていえば、国交正常化の際に、すでに完全かつ最終的に解決ずみだ。


8/18付読売
 自衛隊は、中国海軍の増強を踏まえ、南西諸島の警戒体制の強化を急ぐ必要がある。

 尖閣諸島を共同防衛の対象とする米軍の存在も重要である。

 米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイの沖縄配備は、緊急時の海兵隊の機動力を高め、尖閣諸島の防衛にも資する。今回の事件はその必要性を再認識させたのではないだろうか。


8/18付読売
 だが、今回の李大統領の行動は、その後の「天皇謝罪」要求発言と合わせて、格段に罪深い。韓国側はそれを自覚すべきだ。

 日本側は、さらなる対抗措置として、日韓の首脳会談や政府間協議の延期を検討している。安住財務相は、金融危機時に外貨を融通し合うための日韓通貨交換(スワップ)協定の融資枠を縮小する可能性を否定していない。

 当面、日韓関係の停滞が続くのは避けられまい。

 関係悪化のツケは結局、日韓両国に回ってくる。北東アジアの安全保障問題でも、日韓の足並みの乱れは北朝鮮を利するだけだ。


8/19付読売
 「後期高齢者」という名称への感情的反発が和らいだことも勘案すれば、あえて廃止してまで制度を見直す必要はあるまい。求められているのは、より良い改善策を探る議論である。


8/20付読売
 日本が脱原発を決めれば原子力の技術者は育たず、ベトナムなどへの安全面の貢献も続かない。枝野氏は矛盾だらけの「原発ゼロ発言」を撤回すべきである。

 政府は2030年の原発比率について「0%」「15%」「20~25%」という三つの選択肢を示している。このうち、「0%」が最も非現実的なのは明らかだ。

 政府の試算によると、国内総生産が約50兆円減少するなど、日本経済への打撃は甚大だ。

 民間の見通しも厳しい。経団連は、失業者が200万人も増えると警告している。電力多消費産業の鉄鋼業界は、電気料金が最大で約2倍に上がることから、「廃業勧告に等しい」と訴えた。

 野田首相は「0%」とした場合の課題やその克服策の検討を関係閣僚に指示している。原発ゼロを正当化する“理論武装”が狙いとすれば、看過できない。

 懸念されるのは、経済界の悲痛な声をよそに、原発ゼロでも何とかなるとする安易な考えが、政権内に出ていることである。

 特に、電力安定供給と産業振興に責任を負う枝野氏が、楽観論を振りまいているのは問題だ。

 枝野氏は「0%」を実現可能な選択肢としたうえで、「やり方を間違えなければ、むしろ経済にプラスだと思う」などと述べた。原発の代わりに再生可能エネルギーを導入すれば、内需拡大につながるはず、というのだ。

 現実はそれほど甘くはない。再生エネで先行したドイツでは電気料金の上昇で家計負担が急増し、太陽光パネルのメーカーが安い中国製に押されて倒産するなど、悪影響が顕在化している。

 国の浮沈にかかわるエネルギー戦略を、不確実な期待を根拠に決めるのは、極めて危険である。


8/23付読売
 民主党政権の場当たり的な大衆迎合主義(ポピュリズム)を象徴する出来事と言えよう。

 野田首相が、首相官邸前で反原発デモを続ける「首都圏反原発連合」のメンバーと面会した。

 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働撤回をメンバーが求めたのに対し、首相は「安全性を確認し再稼働した」と説明した。

 国民の生活を守るという大局的見地から再稼働させた首相と、ハナから原発不要論を唱える反原発団体が折り合えるはずもない。

 異例の面会に応じたのは、首相が「国民の声に耳を傾ける」という姿勢を示す狙いからだろう。

 だが、首相が短時間とはいえ、反原発団体と面会したことは禍根を残したのではないか。反原発デモに一定の理解を示したと誤解されかねない。首相はこうした対応を今回限りとすべきだ。

 むろん国民の多様な意見を聞くことは重要だが、首相はこれまでも国会論戦や記者会見などを通じてさまざまな意見に接し、国民の疑問に丁寧に答えている。

 枝野経済産業相は、首相とデモ代表との面会について「直接に誰かだけとやれば誤解を招く」として、パブリックコメント(意見公募)や討論型世論調査などを活用すべきだと主張している。

 大阪市の橋下徹市長も「デモの大きさや人数で、会う会わないを決めるのは行政としてどうなのか。一定のルールが民主主義には必要だ」と疑問を呈していた。

 どちらも妥当な指摘である。

 一方で、民主党の首相経験者2人が、面会の実現を首相に求めたことは理解に苦しむ。

 鳩山元首相は首相官邸前のデモに加わり、「原発再稼働はやめるべきだと思う」などと演説した。菅前首相は反原発デモを「新しい政治参加のうねりだ」などと持ち上げ、面会にも同席した。

 首相経験者が、現首相の方針に公然と反対し、反原発デモに肩入れするのはあまりに無責任だ。

 鳩山氏は首相退陣時、もう影響力を行使しないと述べた。それを忘れたかのような振る舞いは見苦しい。菅氏も展望なき脱原発路線で再稼働に待ったをかけ、深刻な電力不足を引き起こした。

 原発を利用しないと経済が立ち行かないという現実をわかろうとしない両氏に、これ以上、振り回されてはならない。

 首相の判断で原発を再稼働させたことで、電力危機が回避されたのである。引き続き現実的なエネルギー政策を推進すべきだ。


8/24付読売
 あまりに遅きに失している。国家主権に関する問題でさえ、相手国を刺激しないという民主党政権の過剰な「配慮外交」が、日本は簡単に譲歩するという誤解を韓国側に与えたことは否めない。

 いわゆる従軍慰安婦問題でも、賠償請求権問題は完全に解決しているのに、前原政調会長が新たな「人道的措置」の検討を表明したことなどが、韓国側に誤った期待感を抱かせた可能性がある。

 政府は一連の経緯を反省し、今後の対応を検討すべきだ。


8/3付日経
 私たちはエネルギー政策の「調整と点検」を主張してきた。それは(2)に近い。福島第1原発事故を経験して原発の数が減るのは避けがたい。新規の建設は当分困難だ。エネルギー政策の基本を原子力から自然エネルギーや省エネルギー重視に大きく転換する必要がある。化石燃料についても天然ガスを中心に環境負荷を最小限にしつつ利用を拡大する。

 ただ原子力という選択肢は残すのが賢明だ。自然エネの本当の実力を見極めるのはこれからだ。省エネ策の浸透ぶりや化石資源の価格など不確実な要素がたくさんある。5年、10年は自然エネの拡大などに全力を尽くし、限界がみえ弊害が大きいなら政策を点検し戦略を練り直せばよい。

 原発を残すには規制当局と発電事業者の信頼回復が欠かせない。9月に予定される原子力規制委員会と規制庁の発足をぜひともその契機にしたい。


8/16付日経
 民主党政権のもとで、日本外交の基軸である日米同盟が揺らいだ影響も大きい。米軍普天間基地の移設問題で日米の亀裂を招き、最近もオスプレイの配備をめぐって関係がぎくしゃくしている。

 日本の政権の弱体化に加え、日米同盟まで揺らげば、中韓ロは米国の反応もさほど気にせず、日本に対してより強気に出られるようになる。これが周辺国に付け入るスキを与えたといえるだろう。


8/14付毎日(発信箱)
発信箱:「オフレコ」は誰のため=大治朋子(外信部)
毎日新聞 2012年08月14日 00時11分

 取材の場で交わされる合意の一つに「オフレコ」がある。オフ・ザ・レコード、つまり取材はするが報道はしない、あるいは発言を引用しませんという約束である。

 それをあえて破った沖縄の「琉球新報」の記事が日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞に選ばれ、11日、授賞式があった。

 昨年11月、当時の沖縄防衛局長と地元の記者ら11人による酒食を交えた「オフレコ懇談会」。防衛局長は、防衛相が普天間飛行場の移設に向けた環境影響評価書の提出時期を明言しない理由を問われ「犯す前に、犯しますよと言いますか」と述べたという。「問題の行動」をする前に告知する者がいるか、と言いたかったのだろう。

 新報は沖縄県民、女性を愚弄(ぐろう)する発言で、報道する公益性が高いと判断。懇談会終了後、局長側に通告し、翌朝1面で報じた。局長は即座に更迭され、他の多くのメディアも追随。毎日新聞は別の取材で懇談会に出席していなかったが、夕刊から報じた。

 だが一部メディアは「役所との信頼関係が失われた」と新報を批判した。しかしそもそもこの発言はオフレコで保護されるべき類いのものなのか。メディアがオフレコに応じるのは問題の本質や背景を踏まえたより詳しい記事を書き、市民の理解を深めるためだ。いかなる失言、暴言をも押し頂き、一切を報じませんと誓う制度ではない。

 防衛省はその後、沖縄でのオフレコ会見を中止しているが、これもおかしい。官の持つ情報は本来民のものであり、彼らはその管理者にすぎないことを忘れていないか。

 JCJ代表委員の柴田鉄治・元朝日新聞論説委員は「こういうことを報じるのがジャーナリズムの役割だ」と述べている。オフレコは誰のためのものなのか。そのことを忘れずにいたい。


8/4付朝日
 姉を殺した42歳の男性被告の裁判員裁判で、大阪地裁は被告を発達障害の一つアスペルガー症候群と認定し、懲役20年の判決を言い渡した。

 アスペルガー症候群は脳の機能障害が原因と考えられ、相手の気持ちをくみ取るのが苦手で、対人関係に支障をかかえやすい。

 懲役16年とした検察側の求刑を上回り、有期刑の上限である量刑を選択した。

 その理由について河原俊也裁判長は次のように述べた。

 社会に被告の障害に対応できる受け皿が何ら用意されておらず、再犯のおそれが強い。許される限り長期間刑務所に収容して反省を深めさせ、それが社会秩序の維持にもつながる――。

 母親らが同居を断っており、家族の支援が得られない。ならば刑務所に閉じ込めておこうといわんばかりの判断である。

 この障害だからといって反社会的な行動に必ずしも結びつくわけではなく、すぐにも再犯に走るような発想は差別を助長するものだ。偏見が過ぎる判決としかいいようがない。

【ちなみに読売、毎日も同様の社説を掲載しています。難しい問題だと思います。】

8/8付毎日 記者の目

 そもそも「大正デモクラシー」と呼ばれるように、大正期は護憲運動をはじめ民衆による社会運動が盛んになったことで知られる。一方で、私には理解できないことも多かった。例えば、中国の辛亥革命(11年)に共感した日本人が多くいたのに、なぜ中国での日本の権益拡大を求める「21カ条要求」(15年)を突きつけるなど、強硬な姿勢を取るようになったのか。関東大震災の時、なぜ一般民衆までが数千人もの朝鮮人を虐殺する惨事を引き起こしたのか。

 ◇今は理解不能な虐殺事件の原因
 戦後の教育を受けた私自身の中には、中国や韓国の人々に対する民族的な優越感は見いだせない。日本人の多くに差別意識があったというのは全くの謎で、当初から自分なりに答えを探したいと考えていた。そして東日本大震災の後、関東大震災はいっそう大切なテーマとなり、歴史学者や地震学者、体験を語り継ぐ市民らに取材を重ねた。

 関東大震災直後、壊滅状態となった被災地などでは、朝鮮人が暴動を起こすといった根拠のない流言が飛び交った。軍隊や警察だけでなく自主的に地域の警戒に当たる「自警団」を組織した民衆も進んで虐殺に加わった。朝鮮人と疑われた中国人、時には日本人までが殺された。「植民地支配で圧政を加えた罪悪感の裏返しの恐怖」といった説明は頭で分かっても納得できるところまではいかない。

 そんな中で取材した一人が鈴木さんである。当時の人々にとって関東大震災が「振り返りたくない記憶」になったのは、大正デモクラシー自体の矛盾に根差していた。鈴木さんによると自警団の中心を担ったのは青年団や在郷軍人会の人々だった。彼らは大正時代に東京などで多発した水害をきっかけに災害時に組織的に出動するようになった。

 「大正期は、いわばボランティアの時代の始まり。デモクラシーの思想の下で、民衆は都市で重要な役割を担い、新しい自治の担い手となりかけていた。ところが関東大震災の際、自警団は流言を信じて朝鮮人を迫害し、町内を守ろうとして通行人に怖い思いをさせてしまった。『ボランティアでは必ずしもうまくいかない』という自治に対する民衆の自信喪失があらわになったと思う」

 直後に行政から、食料配給のため全住民を把握する町内会の結成を要請され、昭和の戦時期の隣組につながる「行政の下請け」的な色彩の濃い町内会が被災地全域で組織されていったという。他のテーマの取材からも、大正期の民衆運動そのものに、戦時体制につながる要素が含まれていたことが分かってきた。

 「なぜ虐殺が起きたか」の謎は解決できなかったが、私はこう考えるようになった。「100年近くたてば自分の国の出来事でも理解できなくなることはあり得るのだ」と。それが歴史であり、だからこそ事実の検証は不可欠だ。

|

« 移動 | トップページ | 第5回早押王・新人王 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/193880/56426876

この記事へのトラックバック一覧です: 社説を読む 第26回:

« 移動 | トップページ | 第5回早押王・新人王 »