« シンサクール蒲田例会 | トップページ | 第13回一橋オープン »

2012年10月13日 (土)

社説を読む 第32回


10/8付朝日
 もっと近現代史を学校で教えよう。尖閣諸島や竹島の領有権問題をきっかけに、政治家が相次いでそう発言している。

 

 田中真紀子文部科学相は就任会見でこう語った。教科書は現代史の記述が薄い。ファクトはファクトとして出す。自分なりの考えを持てる人間を育てる。そうでないと、国際社会で発信力のある日本人はできない。

 

 橋下徹大阪市長も「相手と論戦するには、相手の立場を知らなければ」と話した。

 

 領土や歴史認識についてどんな立場を取るにせよ、中韓を始め近くの国との関係について史実を知っておくことは大切だ。

 

 近現代と東アジアを中心に、世界の中の日本を学ぶ。そんな歴史教育に見直してはどうか。

 

 高校の授業は標準で週30コマ。総合学習や情報など科目が増え、理科離れも指摘される。歴史だけ大幅には増やせない。制約の中でどう充実させるか。

 

 日本学術会議が昨年、興味深い提言をしている。高校の世界史と日本史を統合し、「歴史基礎」という新しい必修の科目を作るというものだ。

 

 科目のつくりかえは簡単ではないが、真剣に耳を傾けるべき提案だ。現場で実験的な授業も始まっている。文科省は長い目で検討を深めてほしい。

 

 提言はこう訴える。

 

 日本史を世界史と切り離して一国史的に教える傾向がある。

 

 日本史で外国が描かれるのは戦争や交流があった時だけ。かたや、世界史のアジア史の項には日本がほとんど出てこない。

 

 日本が他国と関係なく歴史を刻んでいるかのようだ。

 

 グローバル化の時代を生きる若者に、異文化を理解し、共生する姿勢を育む。そのために、世界史の中に日本史を位置づけて教えるべきだと説く。

 

 とりわけ近隣の国民と健全な関係を築くために――と、近現代史と東アジアの重視を打ち出しているのも目を引く。

 

 日本史は中学と高校で同じような中身を繰り返す。世界史と日本史も大戦期などは重なりが多い。整理して無駄を省けば大事な時代に時間を割ける。

 

 世界史と日本史が分かれたのは、明治政府が「国史」と「万国史」を分けて以来という。近代国家として発展する中で「国史」が国の威信を高めるのに使われたと指摘される。

 

 もうそんな時代ではない。海の向こうの金融危機が国内の雇用に響く。経済ひとつとっても自国の中では完結しない。

 

 必要なのは、退屈な丸暗記ではない。「いま」を考えるのに役立つ勉強だ。

 

10/6付毎日
 ついに配備が始まりそうだという先月末、地元紙・琉球新報の社説は「沖縄は植民地ではない」と見出しに掲げた。沖縄では「配備の日程を変えず強行したのは沖縄に無力感や諦念を与える狙いがある。植民地統治の基本みたいなものではないか」との見方もあるという。

 

 同じころ、那覇市で開かれたマスコミ倫理懇談会全国協議会の全国大会で講演した87歳の大田昌秀元沖縄県知事は「あの戦争で沖縄は本土を守るための捨て石にされた。沖縄は他人の目的を達成する道具だった。モノ扱いがこれ以上続くなら独立論も出てくる」と訴えた。

 

 かつて独立王国だった琉球を強制廃止し近代日本に編入した明治の琉球処分、10万人近い民間人死者を出した太平洋戦争末期の地上戦、沖縄を本土から切り離した戦後のサンフランシスコ体制、米軍基地を集中させる結果になった72年の本土復帰。誇りを傷つけられ、多くの血の犠牲を払いながらも、本土の安全のため負担を引き受けてきた歴史のうずきが今、沖縄の人々の心を揺さぶっている。

 

 本土に住む私たちは植民地や独立という言葉に驚く。ただ、そこまで強く言わなければ本土にはわからない、との思いがあるのだろう。鳩山由紀夫元首相の「普天間県外・国外移設」発言と挫折で噴き出した沖縄のアイデンティティーの主張は、もはや不可逆的な流れだ。

 

【鳩山氏の功績の一つですね(皮肉でも何でもなく)。惜しむらくは、マスコミも本土の人間も誰も彼に協力しなかったこと。】


10/6付読売
 田中法相が代表を務める党総支部が、在日台湾人の経営する会社から政治献金を受けていたことも政権への新たな打撃となった。

 

 民主党では、菅前首相や前原国家戦略相にも外国人献金が発覚している。同様の問題がないか、事前に十分確認することなく、田中氏を入閣させたこと自体、党の統治能力に疑問符が付く。

 

【なんで、こんなしょうもないことがこんな問題になるのか全く理解できない。】

 

10/7付読売
 今回の指針案で防災対策の重点範囲に入ったことを理由に、原発再稼働について事前同意を求めている自治体もある。

 

 規制委の田中俊一委員長は「規制委が関与すべきではなく、電力会社と自治体の問題」とし、防災計画整備を安全判断の必要条件にはしない、との見解を示した。

 

 妥当な判断である。規制委はあくまで、技術的観点から原発の安全性向上に力を注ぐべきだ。

 

【結構期待していたのに、やっぱり田中俊一氏も「ムラ」の人間だったんだなあ…。安全対策が行われていないのに原発再稼働とか有り得ない。】

 

10/9付読売
 政府は当初、11年度の税制改正法案で導入を目指したが、自民党の反対で実現せず、今年3月に12年度実施の法案が成立した。環境税を取り巻く状況が変わったにもかかわらず、原案通りに導入されたことには疑問が残る。

 

 原発の運転停止に伴い、電力各社は原発に代わる火力発電の燃料として化石燃料の輸入を急増させ、税負担は重くなっている。

 

 環境税は化石燃料を使う企業が納めるが、電力・ガス料金などに転嫁され、消費者など最終ユーザーが負担することになる。

 

 電力会社は、東京電力を除いて環境税に伴う値上げを当面見送る方針だ。だが、燃料コスト増大で収益が悪化すれば、いずれ値上げに踏み切らざるを得まい。

 

 価格競争が激しいガソリンスタンドの大半は、顧客に転嫁できずに価格を据え置いている。業界の負担額は、今年度だけで100億円を超えるとみられる。

 

 このままでは、石油、化学、鉄鋼などの業界の負担が膨らみ、国際競争力が低下しかねない。産業界から負担軽減を求める声が出ているのも当然である。

 

 家計の負担増も懸念される。

 

 環境省は、一般家庭の負担増は年1200円程度と試算するが、7月に再生可能エネルギー全量買い取り制度が始まり、電力料金がアップしたばかりだ。

 

 民主党政権の環境・エネルギー政策は迷走を続けている。政府が打ち出した脱原発依存の方針は温暖化対策と逆行し、「20年までに1990年比で25%減」という温室効果ガス削減目標の達成は絶望的な状況だ。

 

 そうした中で、環境税だけを先行させても説得力はない。

 

【料金転嫁を容認ですか…。自分らの身から出た錆のくせに。】

 

10/8付日経
 政府がこのまま明確な削減目標をつくらないと、企業や自治体が積極的なCO2削減策を講じるのをためらわせかねない。これまで積み上げてきた低炭素型の社会づくりの歩みを止めてはいけない。

 

 エネルギー・環境戦略の見直しがまず必要だ。原発ゼロにこだわるのをやめ、原子力規制委員会が安全を確認した原発を速やかに再稼働させる、その環境づくりにこそ政府は力を尽くすべきだ。

 

【震災の教訓はすべて投げ捨てましょうということですね。全く理解できません。】

 

10/10付読売
 仲井真氏は「普天間基地は街の中にあり、安全と言えない面もある」と述べ、配備見直しを求めた。オスプレイ運用の安全確保に関する日米合意の徹底順守などを求める要請書も首相に手渡した。

 

 オスプレイの安全性を追求するため、政府は、日本独自の検証や日米合同委員会の協議・合意など様々な手段を尽くしてきた。

 

 沖縄では、「市街地上空で垂直離着陸(ヘリコプター)モードの飛行が目撃された。日米合意違反だ」といった指摘がある。

 

 だが、最も安全な飛行方法は気象条件などで変わる。米軍がわざわざ危険な飛行を選ぶはずもない。飛行モードだけで合意違反と速断するのは無理があろう。

 

 MV22の事故率は海兵隊の全航空機平均より低い。特に、導入当初10万飛行時間の事故率は海兵隊では最小だ。データ面から見ても、オスプレイが極めて危険であるかのような主張はおかしい。

 

 さらに重要なのは、オスプレイ配備が日米同盟を強化し、アジアの安定にも寄与することだ。

 

 中国が、沖縄県・尖閣諸島周辺を含む東シナ海で海空軍の活動を活発化させている。今後も、国防費の大幅な伸びを背景に、艦船や航空機の増強と近代化を中長期的に続けると見るべきだ。

 

 従来の米軍輸送ヘリCH46と比べて、オスプレイは巡航速度や航続距離が大幅に上回っている。海兵隊の即応力を高め、対中国戦略の一環だけでなく、在日米軍全体の抑止力の強化につながる。

 

 朝鮮半島有事や離島防衛にとどまらず、災害対応や人道支援など、平時に果たす役割も大きい。

 

10/11付読売
 一時拡大した反日デモに続き、中国政府は日本製品の不買運動も容認した。トヨタ自動車など日系自動車メーカーの9月の販売台数は大幅に減った。日本企業のビジネスに悪影響が広がっている。

 

 観光客の訪日中止などで航空会社や観光業への打撃も大きい。

 

 中国による有形無形の圧力を受け、日本の経済界は、政府に事態の早期打開を求めている。玄葉外相も対中外交に関して、「譲れないものは譲れないが、何が可能か模索したい」と述べた。

 

 ただし、拙速は禁物だ。

 

 安易に妥協すれば、尖閣諸島に関する日本の主権そのものが危うくなりかねない。

|

« シンサクール蒲田例会 | トップページ | 第13回一橋オープン »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/193880/56428543

この記事へのトラックバック一覧です: 社説を読む 第32回:

« シンサクール蒲田例会 | トップページ | 第13回一橋オープン »